イスラム教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/07 10:26 UTC 版)
世界全体
今日、ムスリムは世界のいたるところでみられる。異論はあるが、2010年時点で16億人の信徒があると推定されていて[1]、キリスト教に次いで世界で2番目に多くの信者を持つ宗教である。ムスリムが居住する地域は現在ではほぼ世界中に広がっているが、そのうち西アジア・北アフリカ・中央アジア・南アジア・東南アジアが最もムスリムの多い地域とされる。特にイスラム教圏の伝統的な中心である西アジア・中東諸国では国民の大多数がムスリムであり、中にはイスラム教を国教と定めている国もある。
世界のムスリム人口は、多子化やアフリカ内陸部などでの布教の浸透によって、現在も拡大を続けているとされる。また、移民として欧米諸国など他宗教が多数派を占める地域への浸透も広まっており、イギリスではすでに国内第2位の信者数を有する宗教である。
日本人ムスリムの総数は、大規模な調査が行われていないこともあり、はっきりしていない。過去に行われた調査では数千〜数万程度のばらつきのある数字が提示されているため、最大に見積もっても信徒数は5万名に届かないのではないかと推測されている。在日外国人まで含めた信者数についても諸説あり、5万人[5]、12万人[6]、18万人[7]など、人によって主張される数の開きは大きい。文化庁の宗教年鑑でも、イスラム教は、神道・仏教・キリスト教以外の「諸教の諸教団」に天理教などと共に含まれ、詳細な調査はほぼ行われていない。
トルコ、東ヨーロッパ、シリア、イラク、エジプト、インド、中央アジアにはオスマン帝国の公認学派であり、最も寛容で近代的であるとされるハナフィー学派(スンナ派)が多い。その他の地域では、イランはジャアファル学派(シーア派)、アラビア半島では最も厳格なことで知られるハンバル学派(スンナ派)、マグリブはマーリク学派(スンナ派)、東南アジア、東アフリカはシャーフィイー学(スンナ派)。
聖典のクルアーンは、アラビア語で書かれたものしか認められず、外国語に翻訳しても、聖典を理解するための補助文書でしかないが、こうしたことから、イスラム教は少なくともその成立当初はアラビア語を解するアラブ人のための民族宗教という一面を持っていたと指摘されることもあった。しかし一方で、クルアーンは全人類のために下された啓典といわれており、現実にイスラーム教徒は民族を超えて世界中に存在していることから、イスラームは普遍宗教であるというのが通説である。アラビア語がこれほど意識されている理由は、預言者ムハンマドが神から授かった言葉そのままの姿を残す意味にあり、クルアーンにはアラビア語でしか伝わらない言語的奇跡も含まれているからだとされる。ただし、イスラームが普遍宗教となって以降も、アラブ人ムスリムを中心に残っている。
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