【S-92】(えすきゅうじゅうに)
Sikorsky S-92 Helibus(ヘリバス)
アメリカが中心となって6カ国共同で開発された、民間向け大型双発ヘリコプター。
といった多数の企業が参加するプロジェクトである。特に中国と台湾が同一の開発計画に参加したことで注目を集めた。
UH-60の技術をもとにローターブレードやキャビンの大型化を図ったものだが、ローターの翼端を垂れ下げてボルテックスリングを抑制し、乗り心地を良くしている。
また胴体横に大型のスポンソンを設け、キャビンの広さと燃料タンクの確保を両立している。燃料タンク部分は非常時に切り離すことができ、迅速な燃料投棄が可能となっている。
本機の設計に際しては、新たな損傷許容設計基準を採用し、非常に高い冗長性を確保したとしている。
本機の軍用型がカナダ軍にCH-148の名称で採用されており、また韓国の大統領専用ヘリコプターとしても採用が決まっている。
しかし本来の「民間向け」市場においては、AW101ほどではないにせよ苦戦を強いられており、シュペルピューマの牙城を崩すことはできないでいる。
これはアメリカ国内も例外ではなく、一説には外国製ヘリコプターの台頭に危機感を覚えた保守層が、あまりにも参加国が多すぎる共同開発機を忌避しているとも言われる。
シコルスキーはアメリカ軍に対しても売り込みをかけているが、特に六四天安門事件以降、アメリカは中国に対してS-70の輸出を差し止めるなど軍事面での警戒感を強めており、中国が参加している製品を採用する可能性は低いとみられる。
HH-53の後継となるアメリカ空軍次期戦闘捜索救難ヘリ(CSAR-X)にも入札したが、HH-47に敗れている。ただしこの審査はシコルスキーとロッキード・マーチンの訴えで差し戻されたため、次回の審査で選定される可能性は残されている。
関連:S-76
スペックデータ
乗員 | 2名+乗客19名と操縦席に支援員一名 |
全長 | 17.10m |
胴体長 | 17.1m |
胴体幅 | 5.26m |
主回転翼直径 | 17.17m |
全高 | 4.71m |
円板面積 | 246㎡ |
円板荷重 | 48kg/㎡ |
自重 | 7.53t |
全備重量 | 12.02t |
最大離陸重量 | 12.8t |
発動機 | ゼネラル・エレクトリック CT7-8A ターボシャフト(出力3,000shp(2,238kW))×2基 |
出力重量比 | 2kg/hp |
速度 (超過禁止/巡航) | 165kts/151kts |
航続距離 | 800nm |
実用上昇限度 | 4,200m |
派生型
S92
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