OTOの哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 20:25 UTC 版)
クロウリーはOTOを「大いなる旧きアイオーンの諸結社の中で最初に『法の書』を受け入れる結社」と表現している。OTOは当初、非正規メイソンリー団体の儀式文書を取り入れていたが、基調的文脈はセレマとその教義を背景とするものに変更された。ただしメイソンリーに関連する象徴的表現や用語も依然として一部使用されている。「団は、劇的な儀式を通じた秘教的知識教示、啓発された倫理体系の指導、人間の中の神性を自覚するという“大いなる業(わざ)”(the Great Work)を熱望する人同士の交流を提供する。」 OTOの中核をなす儀式活動には2つの分野がある。すなわち、イニシエーション(密儀の伝授)とグノーシスのミサの祝典である。これに加えて団は、講義・勉強会・社交行事・演劇作品・芸術展示会の開催、書籍や機関誌の出版、ヘルメス学・ヨーガ・魔術の教授といった活動を行っている。 クロウリーは自伝『アレイスター・クロウリーの告白』(以下、『告白』と記す)でこう書いている。「OTOはひとつの至高の秘密を保持している。その体系全体は、段階的な直截的暗示によって極めて重要な教示を会員に伝達することに向けられている。」最初の一連の参入儀式に関しては「教示の主目的は2つある。まず、宇宙および宇宙と人間の生との関係を説明することが必要である。次に、全ての人間が自身の人生を宇宙に適応させ、最大限に有利に自身の才能を開発するための最善の方法を教示することである。私はそれに応じて Minerval、Man & Brother、Magician、Master Magician、Perfect Magician、Perfect Initiate という一連の儀式を構築した。それらの儀式によって極めて広範な哲学的視座における人生の最初から終わりまでの過程が描き出されるはずである。」V°以降の参入儀式は「思慮分別、忠義、自立、誠実さ、勇気、自制、状況に動じないこと、公平さ、懐疑、その他さまざまな美徳の価値を志願者に教示する。同時に、彼が自身の究極の秘奥たる本性を悟り、その本性の為すべき仕事のしかるべき目的を見出し、その本性を活用し成功を確実にする最善の手段を見つけるための手助けを与える。」(p.701). OTOの全体系についてクロウリーは『告白』にこう書いている。 OTOは万国共通の同胞愛と普遍的な宗教に合理的な基盤を与えている。そして、単純だが崇高で芸術的に配置された象徴的表現という手段によって、宇宙について現在知られている全てのことを要約した科学的な説明を提示している。また、各自が自分の個人的な運命を発見することを可能にし、それを自由に満喫するためには道徳の面と知性の面においてどのような性質が要求されるかを示す。そして最後には、自身の作業に必要な全ての能力を自分で開発するための想像を絶する強力な武器を手渡す(『告白』p.703)。
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