ALOHA プロトコル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/10 16:35 UTC 版)
「ALOHAnet」の記事における「ALOHA プロトコル」の解説
詳細は「ALOHA」を参照 ALOHAプロトコルは、ブロードキャスト型ネットワーク構成のLANのためのデータリンク層(OSI第2層)通信プロトコルである。 当初のバージョンでは、基本的に次のようなプロトコルになっていた。 送信したいデータがある場合、それを送信する。 別の転送とそのメッセージが衝突した場合、「後で」再送を試みる。 多くの人々がこのプロトコルを研究してきた。最も重要なのは「後で」という部分である。この部分の戦略は、プロトコル全体の効率、伝送路容量、予測可能性に重大な影響を及ぼす。 ALOHAとイーサネットの違いは、イーサネットではCSMA/CDを採用しているという点である。これは衝突発生時に接続している全コンピュータにジャミング信号をブロードキャストし、各コンピュータに現在のパケットやフレームを捨てさせる。伝送遅延が伝播遅延に比べて支配的な場合、ジャミング信号を使うと伝送媒体を素早く解放でき、多くのイーサネットに適している。ALOHAは無線システムなので、小規模のLANではうまく機能するプロトコルでも常にうまく機能するとは限らないという問題もある(隠れ端末問題など)。ハワイ諸島のネットワークの通信範囲は直径400kmだったが、伝播遅延はほぼ確実に伝送遅延に比べて小さかったため、プロトコルは十分な頑健性を備えている必要があった。 Pure ALOHA の最大スループットは約18.4%であった。これは、全帯域幅の約81.6%がパケットの衝突によって無駄に費やされていたことを意味する。基本スループット計算は、2X秒間に平均で2G回の到着があり、全体としてポアソン分布に従うと仮定して行う。G = 0.5 のときピークとなり、最大スループットは 0.184 すなわち 18.4% となる。 Pure ALOHA を改良したのが Slotted ALOHA で、離散型時間スロットを導入して最大スループットを36.8%まで改善した。各局は時間スロットの開始時刻でのみ送信できるようにし、それによって衝突を削減した。この場合、2X秒間に最大G個の到着となる。最大スループットは G = 1 のときになる。 ALOHAの特性は、今日の Wi-Fi のそれとそれほど違わない。どちらも本質的な非効率性を有している。例えば、802.11bは理論上の最大スループットは11Mbit/sだが、少数の局で運用しても実スループットは2Mbit/sから4Mbit/sとなる。ユーザー数が増えるとネットワークのスループットは劇的に低下するし、メッセージのバースト性が増大してもスループットは低下する。このため、遅延の予測性が重視されるシステムでは、コンテンション方式よりもトークンリングなどのトークン・パッシング方式の方が好まれる。例えば、組み込み用途ではARCNETがよく使われる。それでもコンテンション方式にも利点があり、管理が容易で通信開始時の速度が高い。
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