骨格筋細胞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 06:41 UTC 版)
詳細は「骨格筋」を参照 骨格筋細胞は筋肉内で収縮する個々の細胞であり、長い線維状の外見をしているため一般的には筋線維として知られている。一例として、青年男性の上腕二頭筋には約253,000個の筋線維が含まれている。骨格筋線維は多核化している唯一の筋細胞であり、その核は筋核(myonucleus)と呼ばれる。この多核化は筋形成の過程で筋芽細胞が融合することで生じたものであり、各筋芽細胞が新たに形成された筋細胞または筋管(myotube)に核を提供する。融合はMyomakerやMyomergerと呼ばれる筋特異的タンパク質に依存している。 横紋筋にはミオフィラメントの長いタンパク質鎖から構成される筋原線維(myofibril)が含まれている。ミオフィラメントにはthin(細い)、thick(太い)、elasticの3つの種類が存在し、協働して筋収縮(英語版)を生み出す。細いフィラメントは主にアクチン、太いフィラメントは主にミオシンからなり、互いに滑ることで筋収縮時に線維の長さを短くしている。3番目の種類のelastic filamentは非常に巨大なタンパク質チチンから構成される。 横紋筋の縞模様は、ミオシンが暗く見えるフィラメントを形成してA帯を構成し、アクチンが明るく見えるフィラメントを形成してI帯を構成することで作られている。筋線維内での収縮の最小単位はサルコメアと呼ばれ、2つのZ線(Z板、Z膜)の間の反復単位である。また筋形質には、運動量が増えたときに細胞にエネルギーを供給するグリコーゲンや、筋活動に必要となるまで酸素を貯蔵する赤色色素であるミオグロビンが含まれている。 筋小胞体は平滑小胞体が特殊化したものであり、筋線維の各筋原線維の周囲にネットワークを形成している。このネットワークは、2つの終末槽(英語版)(terminal cisterna)と呼ばれる嚢状構造と、細胞を貫通する1本のT管(T-tubule、横行小管)からなるグループによって構成されている。これら3つの構成要素は筋小胞体のネットワーク内で三連構造(triad)となって存在しており、各T管の両側に2つの終末槽が位置している。筋小胞体はカルシウムイオンの貯蔵庫の役割を果たしており、T管を活動電位が広がると、筋小胞体へシグナル送られて膜チャネルからカルシウムイオンが放出され、筋収縮が刺激されることとなる。 骨格筋の各筋線維の末端では、筋小胞体の外層が筋腱接合部(myotendinous junction)で腱線維と結合する。筋線維内では核は筋鞘に押されて平坦な形状になっている。筋線維の多核状態は発生学的には、複数の筋芽細胞が融合して筋線維を形成する際に各筋芽細胞が1つの核を持ち込んだものである。
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