遺産と適用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/28 16:02 UTC 版)
武勲詩が創造した一群の神話は、ジャンルそれ自体の創造的な力が潰えた後もなお生き続けた。トルクァート・タッソのイタリア語叙事詩『リナルド』(1562年)、ボイアルドの『恋するオルランド』(1495年)、アリオストの『狂えるオルランド』(1516年。といった作品は、最初に武勲詩に登場したシャルルマーニュの12勇士たちの伝説に基づいたものである。また、そこに描かれた事件や筋はエドマンド・スペンサーの『妖精の女王』といったイギリス文学作品の核になった。スペンサーは、カトリック教会に対するプロテスタントの勝利の代わりに、イスラム教に対するキリスト教の勝利を語るために創案された形式を適用しようと試みた。一方、ドイツの詩人ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ(Wolfram von Eschenbach)はギョーム・ド・ジェローヌの生涯を、その未完の叙事詩で78冊の写本から成る『ヴィルハルム』(13世紀)の基礎にした。さらに武勲詩はアイスランドのサガ『Karlamagnús』にも記録されている。 実に19世紀まで、ローランやシャルルマーニュの歌は、アーサー王と聖杯の物語同様重要なもので、そうしたテーマに基づいたイタリアの叙事詩は主要な文学作品に数えられていた。「フランスもの」が「ブルターニュもの(アーサー王物語)」によって影が薄くなったのは、19世紀後半から20世紀にかけてである。
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