親鳥による世話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 05:56 UTC 版)
ガチョウやカモハクチョウ(Coscoroba coscoroba)と同様に、アンナカキグナの骨盤は幅広で短く、足を遊泳に用いる鳥類の長く狭い骨盤とは類似しない。しかし、アンナカキグナの足はむしろ後肢推進型の海鳥の物と類似する。Matsuoka and Hasegawa (2022)は、骨盤は海で体を安定させる特殊な適応を遂げていた可能性があると示唆した。長く頑強な尾椎は、骨盤の他の適応と共に、例外的な可動性と強さを持つ尾をもたらしていた可能性がある。 アンナカキグナは飛翔不能であったことが翼から明確に示されているが、腕の骨は短くなっているものの、他の飛べない鳥と同様の縮小は見られず、むしろ別の特殊性を示している。肩関節の可動性は高く、翼を大きく後退させることが可能で、通常は鳥が翼を畳むときにしか観察されないこの動作を支える筋肉組織を持っていた。逆に、手首の関節への制限は大きく、指骨は約60°までしか折り畳むことが出来ず、135°までしか曲げられなかった。加えて、腹側尺掌骨筋により、主羽根は手首よりも上方に持ち上げることができたと考えられる。このような翼の位置は雛をおんぶするように成鳥の背中に乗せて運搬する現生のハクチョウの種にも見られるものである。また、このような行動を取る3種はいずれも他の白鳥に比べて声が小さく、その代わりに翼を使ってコミュニケーションを行う。 骨格要素と対応する筋組織の組み合わせから、Matsuoka and Hasegawa (2022)はアンナカキグナが現生のコブハクチョウのように特殊化した翼を持ち、それを雛の運搬に使用していた可能性があると提唱した。可動性のある尾は、雛の物理的な保護に寄与した可能性がある。さらに、翼と尾は雛を守るためだけでなく、仲間を引き付け、コミュニケーションをとるためのディスプレイとしても利用されていた可能性もある。
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