絵柄および表現の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 15:10 UTC 版)
少女漫画の絵柄は基本的に可愛らしく清潔な印象を与えるものが多いが、その絵柄はお転婆のように元気なもの、落ち着いた癒し系のもの、姫のように美しいもの、ブランド志向でセレブなもの、抒情画やイラストポエムのように抒情的なもの、耽美映画のように耽美的なもの、劇画や青年漫画のようにシリアスなものなど時代に合わせて様々となっている。昔の少女漫画は平面的な絵柄が多かったものの、現在はファンタジーブームや子供向けアイドルブームやダンス必修化などを経て少女漫画にも立体感のある絵柄が増えている。ヒロインの背丈はフイチンさんのような八頭身から小さな恋のものがたりのチッチような低身長まで存在している。ストーリー漫画では憧れや等身大が強調されるが、コメディやギャグ漫画ではその限りではなく奇人変人だらけのものも多い。 人体の描写は骨や筋肉の隆起が少なく、ファッションと表情の描写に重点が置かれている。現代物の少女漫画では少年漫画と異なりずっと同じ服やアクセサリーや髪型をすることは少なく、またファッションブックの影響を受けて全身のファッションを扉絵やコマぶち抜きなどで魅せることも行われている。 漫画表現では作品世界の情趣を大切にして目の毒になるものをリアルに描き込むことは避け、モノローグの多用、心象を具象化した背景(咲き乱れる花など)、コマ割りなどを駆使し、感情の流れを重視した演出・画面技法に優れている。またストーリー漫画では少年漫画と比較して心理描写が多く、現実問題を扱った作品が多く、暴力や死の扱いが重い(少女漫画の主旨が共感であることに由来するともいう)。 そのほか、少女漫画は流行した青年漫画や映画やドラマの影響を大きく受けており、伝統的な少女漫画の系統によらない表現手法も含んでいる。逆にまた、少女漫画からは特有の記号的表現が過去に多く誕生していて、現在は少女漫画にとどまらずに全ての分野に拡散している。 なお、1990年代以降にインターネット上で人気となったアニメやゲーム風の「萌え絵」や「萌え漫画」はそれらの少女漫画特有の絵柄や要素を原型としてパロディ漫画の登場や女性のゲームデザイナー進出などにより発展したものであり、一般の少女漫画よりも属性化・記号化の強いものとなっている。
※この「絵柄および表現の特徴」の解説は、「少女漫画」の解説の一部です。
「絵柄および表現の特徴」を含む「少女漫画」の記事については、「少女漫画」の概要を参照ください。
- 絵柄および表現の特徴のページへのリンク