福岡空港の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:42 UTC 版)
高度経済成長期以降、日本各地の主要都市の中心部や都心には高層ビルが建ち並んでいる中、福岡市中心部に位置する天神には見上げるほどの超高層ビルは少なく、特に渡辺通りなど天神の中心部には1つもない。この要因の一つとして、福岡空港が天神地区を含む福岡市都心部に近いため、航空法第49条の規定による福岡空港の制限表面(円錐表面)の範囲内に含まれ、構造物(建築物だけではなく、テレビアンテナやアドバルーンも含まれる)の高さに制限がかかるというものがある。 天神地区の場合、航空法の規制に基づけば約67mの高さまでしか建てられず、天神の中心部のビルはほとんどが高さ60m程度・10数階建ての高層ビルだけであり、天神エリアの西端に近い今泉二丁目に建つ高さ約74m・22階建ての「グランアルト天神タワー」が辛うじて建築基準法上の通称「超高層建築物」に当たる程度である。なお、天神よりさらに福岡空港に近い中洲地区や博多駅周辺はさらに厳しい高さ60mの制限地域であり、2011年オープンのJR博多シティも高さとしては高層ビルにとどまる。逆に、福岡空港から離れた大濠公園近辺やシーサイドももちエリア(中央区地行浜・早良区百道浜)には複数の超高層ビルが建築され、都市中心部よりその外側により高層のビルが建つという逆転現象が生じている。 この状況を受け、福岡市では天神交差点を中心とした半径500mのエリアについて国家戦略特区の制度を活用した都市計画「天神ビッグバン」を策定。2014年11月に航空法高さ制限のエリア単位での特例承認として天神明治通り地区(天神一丁目および二丁目、ベスト電器福岡本店および福岡ビルを含む一帯)の高さ制限を76mにまで緩和したのに続き、2017年9月には渡辺通り以西の天神明治通り地区と旧大名小学校跡地(大名二丁目)の高さ制限を約115mに、渡辺通り以東の天神明治通り地区の高さ制限を最大で100mまで緩和した。福岡市では高さ制限の緩和により、民間によるビルの高層化を期待しているという。2021年3月、新たに渡辺通沿いの西鉄福岡駅東側地区について、最大で96mまで高さ制限が緩和された。
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