神話的要素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 17:57 UTC 版)
「ダヴェドの大公プイス」の記事における「神話的要素」の解説
ケルトの神話によく現れる特徴のひとつは、妖精の民シー(sidh)である。彼らは多くの形と大きさをとることができたが、しばしば人間として現れていた。彼らはまた物の外見を変えることもできた。アラウンが彼とプイスの外見を取り替えることができたということは、彼が妖精の民に属することを示唆している。じっさい、アンヌンは一種の妖精の王国(fairy kingdom)もしくは異界(otherworld)であった。 リアンノンもまた妖精の民の一人でありうる。ずっと並足のように見えるにもかかわらずプイスの騎士たちの前を行きつづける馬という、彼女の作りだした幻影のためである。妖精たちはときおり人間たちと性的関係をもつことが知られていた。あるときはこうした関係はつかの間のものであったが、またあるときはリアンノンとプイスがそうであったように継続するものであった。リアンノンが妖精であったので彼女の息子は半妖精(half-fairy)となり、これが彼が超人的な速さで成長できた理由である。リアンノンとプイスの息子の場合のように、妖精たちにとって子どもを盗むことはいくぶんありふれたことでもあった。 ケルト文学ではしばしば魔法(magic)が非常に重大な役割を果たす。ダヴェドの大公プイスはマビノギ全体を通して多くの魔法の事例に関わっている。変身(shapeshifting)はプイスが関与した魔法の一例である。つねに1人、形を変える力を有した人物がいて、物語の異なる部分ではその力の持ち主は変わることがありうる。この例としてマビノギの第一の枝においては、形を変える力は異界の王アラウンのもとにあったが、第四の枝においては同じ力がマース(Math)とその甥グウィディオン(Gwydion)にある。プイスに関わる魔法のべつの例として、彼の妻リアンノンを取り巻く魔法がある。彼女はプイスのそれを含めて、ほかのどんな馬からも逃げきれる魔法の馬に乗っていた。リアンノンはまた、目の前で魔法の言葉が唱えられないかぎり決して満杯にできない袋をもっていた。 またケルト神話においては、いくつかの共通するテーマとシンボルとがあった。ひとつは決して空にならない大釜で、これは決して満杯にならないリアンノンの袋に似ている。もうひとつは謎めいた土地への旅で、主人公はそこで不可能な偉業を達成せねばならないものだった。この例としては、プイスがアンヌンに赴きハヴガンと戦ったこと、またクリトの息子グワウルからリアンノンを取り返さねばならなかったことが挙げられる。プイスがハヴガンと戦ったりリアンノンを取り戻したりするのに1年待ったような周期的な対決も見られる。
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