登場と発展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 08:12 UTC 版)
銃剣の最初の記録は、中国で発見された1606年の書物『兵録(中国語版)』に記載された子母鳥銃(子母銃)である。書には、弾薬が尽きた場合、接近戦になった場合に、銃の銃口に銃刀を取り付け槍のように使用すると記載されている。 銃剣は17世紀、フランスのバイヨンヌで起きた農民同士の争いが発生した際、興奮した農民がマスケット銃の銃口にナイフを差込み、相手に襲い掛かったことから発案されたと言われる。発祥地の地名から銃剣のことをバヨネット(フランス語:baïonnette)ないしベイオネット(英語:bayonet)と呼ぶこともある。 銃と刀剣を融合させた武器はヨーロッパに多く、火縄銃の時代から様々な国、発明家のもとで開発されてきた。当時はマスケット銃を用いた銃兵隊が組織されていたが、マスケット銃は有効射程が100m程度と短い上に、装填にかなりの時間がかかり発射間隔が長かった。そのため、射撃と射撃の合間に敵の歩兵や騎兵の突撃を受ける恐れが高く、突撃を許すと近接戦闘の手段が剣や短剣しかない銃兵はひとたまりも無かった。このため当時は、銃を持つ兵士の傍には常にパイク(槍に似た長い棒状の武器)を装備する槍兵を置く必要があったが、銃剣の採用により銃兵は敵の歩兵や騎兵の突撃を独力で迎撃することが可能になった。それにより役目のなくなった槍兵は銃兵に更新されると共に、全歩兵を銃兵とすることが可能となり、戦闘能力の向上につながった。例えばワーテルローの戦いでは、仏軍騎兵の突撃を受けた英軍の小銃手が方陣を組んで、銃剣を突出し槍衾とすることでこれを防いだ。馬は繰り返し訓練しても、尖ったものに対して突っ込むことを恐れるため、この戦術は有効であった。 形状はソケット型装着方式の「槍型」とサバイバルナイフ形状の「剣型」とに大別でき、ソケット式のものを特に「銃槍(じゅうそう)」と呼ぶこともある。初期には柄を銃口に差し込み用いるソケット式が開発されたが、装着状態では次弾を装填できないという欠点があり、さらに敵に突き刺すと填めた部分が簡単に抜けてしまい、次の攻撃ができなかった。この欠点を改良した物として銃の右横に"括り付ける"形で取り付けるタイプが発達した。これは当時の銃が前装式(先込め式)だったため、装填作業が行えるよう右側につける形になったものである。その後、後装式小銃が発明されたのと同時期に、銃口の下部に銃剣設置用の器具が取り付けられ始めた。この過程で、前装銃の時代には射手が剣・短剣と銃剣の両方を携行していたのに対し、後装銃以降は短剣としても使えるナイフ型銃剣のみを携行するスタイルに変化した。槍型も一部で用いられたが、大部分は剣型となり、両方共に、突く事も斬る事も(叩く事も)できる型式であった。
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