現代の庭園
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:19 UTC 版)
現代における庭園のデザインには、公共レベルのプロジェクトと個人で楽しむ花を主体としたガーデニングの2種に大別されるが、社会の要求に応える職業人の景観設計とアマチュアによる私的な造園は、ほとんど別物と言えるほどまでに分岐した。 米英のナショナルトラストが有する土地では、古い庭園が修繕されたことで訪問客が増え、特に20世紀後半のイギリスにおける造園が流行した。また、除草剤や芝刈り機といった技術の発達による庭園の管理に要する人的コストの減少や、テレビの普及などでより多くの情報に触れるようになったことで、ガーデニングに関心を持つ人々が増加した。 1950年代のアメリカで代表的な造園師となったトーマス・チャーチは、庭が家の延長となりうるデザインを生むとともに、カリフォルニア州のソノマ郡で1948年に制作したドネル家のプールの中に腎臓のような形をした抽象的な彫刻を施し、モダンなアウトドアライフの象徴となった。ハーバード大学に通ったガレット・エクボ、ジェームス・C・ローズ、ダン・カイリーの3人は伝統的な造園術を学ぶなかで出会うとともに、ボザール様式の庭園デザインを扱う講義に異議を唱え、その後は現代アメリカの庭園設計における先駆者として注目を集めた。チャーチとエクボは富裕層が所有する庭を、プールやバーベキューのためのエンターテイメントと、菜園や花壇を含む生活の場と見なした。 モダニスト運動で強い影響を及ぼしたブラジルのロバート・ブール・マルクスは、多様な色の葉を持つ植物を群植し抽象画のような庭園を創り出した。母国の環境保護に尽力していた彼のスタイルは、植物の自然な生育条件を再現することも含んでいた。メキシコのルイス・バラガンはスペインのアルハンブラに影響を受け、メキシコ・スペイン両地の高温から守るような壁で囲うプライバシー空間をデザインした。
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