無期刑以下の刑の判決の主文後回しの例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 15:01 UTC 版)
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求刑死刑 仙台幼児誘拐殺人事件、1965年4月、仙台地方裁判所、無期懲役判決(検察側が控訴、後に二審で逆転死刑判決) 由美子ちゃん誘拐殺人事件:第一審判決(無期懲役) - 1973年3月30日・富山地裁(木村幸男裁判長)1970年2月に富山県富山市で発生した幼女殺害事件。同年8月29日、名古屋高裁金沢支部(沢田哲夫裁判長)は原判決を破棄自判し、被告人に死刑判決を言い渡した。被告人は上告したが、同年10月18日に自ら上告を取り下げ、死刑が確定している。 甲府信金OL誘拐殺人事件:第一審判決(無期懲役) - 1995年3月9日・甲府地裁(三浦力裁判長)「被告人には更生の可能性が認められる」として死刑を回避した判決だったが、裁判長を務めた三浦は、冒頭で「無期懲役」の主文を言い渡した場合、「死刑を免れた」と安堵した被告人が判決理由を聞き流してしまう可能性を考慮し、主文を後回しにした。死刑を求めた検察官と、有期懲役刑を求めた弁護人の双方が控訴したが、控訴審の東京高裁第2刑事部(神田忠治裁判長)は1996年(平成8年)4月16日に双方の控訴を棄却する判決を言い渡した。双方とも上告期限(同年4月30日)までに上告せず、翌5月1日に無期懲役が確定している。 JT女性社員逆恨み殺人事件:第一審判決(無期懲役) - 1999年5月27日・東京地裁刑事第5部(山室惠裁判長)控訴審の東京高裁第3刑事部(仁田陸郎裁判長)は2000年2月28日、同判決を破棄自判し、被告人に死刑判決を言い渡している。同判決も主文後回しで、2004年に死刑が確定している。 オウム真理教事件・井上嘉浩、2000年6月、東京地方裁判所、無期懲役判決(二審で死刑判決を受け、後にこれが確定) オウム真理教事件・中村昇、2003年9月25日、東京高裁(控訴審)(仙波厚裁判長)、無期懲役判決無期懲役を言い渡した第一審判決を支持し、死刑を求めて控訴していた検察官と、有期刑を求めていた弁護人の控訴をそれぞれ棄却。東京高裁は判決理由で、量刑について「極刑と境界を接する無期懲役刑、言い換えれば終身刑、もしくは終身刑に近い無期懲役刑が相当」と述べている。 いわき市母娘強盗殺人事件、2006年3月、福島地方裁判所判決(検察側が控訴、後に二審の仙台高等裁判所で逆転死刑判決) 静岡2女性強殺事件、2006年6月、静岡地方裁判所判決 長崎市長射殺事件、2009年9月、福岡高等裁判所(控訴審)、無期懲役判決 広島お好み焼き店夫婦殺害事件 - 2013年3月13日、広島地方裁判所(裁判員裁判)(伊名波宏仁裁判長)、無期懲役判決 対馬市父娘殺害放火事件、2018年3月27日、長崎地方裁判所(裁判員裁判)(小松本卓裁判長)、無期懲役判決 大口病院連続点滴中毒死事件:第一審判決(無期懲役) - 2021年11月9日・横浜地裁(家令和典裁判長:裁判員裁判)裁判所が主文後回しを事前に予告した事例。2021年10月22日の論告求刑公判で検察官が被告人に死刑を求刑したが、裁判所は同日、判決公判(同年11月9日)で主文を後回しにする旨を予告した。結果、同地裁は弁護人の「事件当時は心神耗弱」という主張を退け、検察官の主張通り完全責任能力を認めたものの、動機の形成過程に情状酌量の余地があること、被告人の反省の念が深いことなどを挙げ、親族間殺人を除けば被害者3人以上の殺人事件としては異例とされる無期懲役判決を言い渡した。 求刑無期刑 オウム真理教事件・林郁夫、1998年5月、東京地方裁判所、無期懲役判決(求刑通り) 元子役俳優らによる金融業者強殺事件、2000年10月、新潟地方裁判所、無期懲役判決(求刑通り) 筋弛緩剤点滴事件、2006年3月、仙台高等裁判所、無期懲役判決(求刑通り) 蘭越母子殺傷事件、2010年3月29日、札幌地方裁判所、無期懲役判決(求刑通り) マツダ本社工場連続殺傷事件、2012年3月、 広島地方裁判所(裁判員裁判)、無期懲役判決(求刑通り) 柏市連続通り魔殺傷事件、2015年6月、千葉地方裁判所(裁判員裁判)、無期懲役判決(求刑通り) 名古屋大学女子学生殺人事件、2017年3月24日、名古屋地方裁判所(裁判員裁判)(山田耕司裁判長)、無期懲役判決(求刑通り) 求刑有期刑 保全経済会事件、1960年3月、東京地方裁判所判決(懲役10年が確定) 小室哲哉著作権譲渡詐欺事件、2009年5月11日、大阪地方裁判所、懲役3年・執行猶予5年判決 強制わいせつ致傷事件、2015年12月、千葉地方裁判所(裁判員裁判)、懲役5年判決 宮崎市女性殺人・死体損壊・遺棄事件、2016年2月、宮崎地方裁判所(裁判員裁判)、無期懲役判決(求刑は懲役25年)
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