無期刑とは? わかりやすく解説

むき‐けい【無期刑】


無期刑

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 10:03 UTC 版)

無期刑(むきけい)とは、無期刑は刑期を定めない、あるいは刑期の上限を定めないという絶対的不定期刑を意味するわけではなく、刑期の終わりが無い、つまり刑期が一生涯にわたるもの(受刑者が死亡するまでその刑を科するというもの)を意味し[1][2][3]、有期懲役より重い刑罰、死刑に次ぐものとされており、英語では「Life(一生涯の) imprisonment(拘禁)」との語が充てられている[4]


  1. ^ a b c d e f 無期刑及び仮釈放制度の概要について”. 法務省. 2020年6月28日閲覧。
  2. ^ 「条解刑法」弘文堂(第2版、2007年12月)p.27。ISBN 978-4-335-35409-0。清原博「裁判員 選ばれる前にこの1冊」自由国民社(初版、2008年12月4日)p.153。ISBN 978-4-426-10583-9。司法協会「刑法概説」(第7版)p.155。
  3. ^ 大辞泉「無期懲役
  4. ^ 平成21年3月改訂版法令用語日英標準対訳辞書」p.282
  5. ^ a b c d e f g h i j 第59回人権擁護大会シンポジウム第3分科会死刑廃止と拘禁刑の改革を考える 基調報告書 p.174-176 日本弁護士連合会(2016年10月6日)
  6. ^ 刑法12条、13条。
  7. ^ 同条は、「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる」と規定しており、この文面が示すとおり、仮釈放は可能性にとどまるものであって、制度上で将来的な仮釈放が前提として保証されているわけではなく、また「10年」「3分の1」とは最短の場合を表しているに過ぎない。
  8. ^ 『平成9年版 犯罪白書』
  9. ^ 『令和4年版 犯罪白書』
  10. ^ 本来どおり無期刑を科す場合で、なおかつ18歳未満のときに無期刑言渡しを受けた者については、7年を経過した後、仮釈放を許すことができるが、それは18歳以上の場合(刑法28条)と同様、あくまで可能性にとどまり、制度上将来的な仮釈放が前提として保証されているわけではなく、また「7年」とは最短の場合を表しているにすぎない
  11. ^ 第123回国会 法務委員会第5号
  12. ^ 第129回国会 法務委員会第1号
  13. ^ 昼夜間独居拘禁に関する質問主意書への政府答弁書
  14. ^ a b c d e f g 法務省保護局無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について』(PDF)(レポート)2022年12月https://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo21.html2024年1月31日閲覧 
  15. ^ a b 日本弁護士連合会 (2018年5月). “裁判員の皆さまへ 知ってほしい刑罰のこと” (PDF). pp. 6-7. 2020年4月18日閲覧。
  16. ^ 仮釈放の際の遵守事項には、各対象者に共通する一般遵守事項と個別に定められる特別遵守事項とがある。
  17. ^ 無期刑の仮釈放が取り消されるため、無期刑受刑者として刑務所に戻されることとなる。なお、刑法28条所定の期間は初度の仮釈放の条件と解されており、仮釈放の取り消しによって収監されている無期刑受刑者は、再収監の時点で刑事施設の通算在所期間が既に10年以上となっているため、(仮釈放の取り消しに加えて新たな刑を受けている場合を除いて)法務省令所定の仮釈放の許可基準に適合すれば、理論上はいつでも再度の仮釈放が可能である(これは有期刑の仮釈放取り消しに伴う再収監においても同様)。
  18. ^ 同条の規定は判決時を基準としており、判決時に成人に達している場合は対象外となる。
  19. ^ 再度の仮釈放者を除く。
  20. ^ 法務省 (October 1973). 昭和48年版犯罪白書 第二編 犯罪者の処遇 第3章 仮釈放及び更生保護 第1節 仮釈放 2 仮出獄 II-85表 無期刑仮出獄者の在監期間(昭和45年~47年) (JPG) (Report). 2020年4月12日閲覧
  21. ^ 法務省 (October 1970). 昭和45年版犯罪白書 第二編 犯罪者の処遇 第三章 仮釈放および更生保護 一 仮釈放 3 仮釈放決定の状況 (二) 仮出獄決定の状況 II-91表 無期刑仮出獄者の在監期間(昭和42~44年) (JPG) (Report). 2020年4月12日閲覧
  22. ^ 令和5年版犯罪白書矯正統計年報および法務省保護局の資料による。
  23. ^ a b “NHKが追った『日本一長く服役した男』61年ものあいだ刑務所にいた囚人の最期” (日本語). 日刊サイゾー. (2020年10月14日). https://www.cyzo.com/2020/10/post_255314_entry.html 2021年1月11日閲覧。 
  24. ^ “日本一長く服役した男” (日本語). NHK. https://www.nhk-ondemand.jp/program/P202100245000000/ 2021年12月25日閲覧。 
  25. ^ 更生保護法の施行以前は「仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則」32条が同様の規定を置いていたが、そこでは、悔悟の情及び改善更生の意欲、再び犯罪をするおそれ、相当性、社会の感情の4つを「総合的に判断」するものとされていた。
  26. ^ 法務省:更生保護における犯罪被害者等施策”. www.moj.go.jp. 2020年6月28日閲覧。
  27. ^ 法務省:更生保護における犯罪被害者等の方々のための制度”. www.moj.go.jp. 2020年6月28日閲覧。
  28. ^ 1985年5月31日付中日新聞社会面による。
  29. ^ 山中理司 (2020年3月22日). “マル特無期事件”. 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)のブログ. 2020年5月14日閲覧。
  30. ^ 後に、被害者の執念が実り、死刑判決が下される。ちなみに、光市母子殺害事件が発生した1999年で仮釈放された無期懲役者は、短くとも18年超え20年以下で服役しており、7年程度で出た者はいない。仮に、加害者が死刑にならず無期懲役になったとしても、最低30年は刑務所で服役していた可能性は極めて高い。更には、検察に死刑求刑された場合は、「特に犯情悪質等の無期懲役刑確定者に対する刑の執行指揮及びそれらの者の仮出獄に対する検察官の意見をより適正にするための方策について(平成10年6月18日付の通達)」(通称「最高検マル特無期通達」)より、マル特無期となるため、事実上釈放されず獄死していたか、仮釈放されたとしても少なくとも50年服役しなければならならない可能性が絶対ではないが、高くなる。そのため、加害者の手紙に書かれた「無期はほぼキマリ、7年そこそこに地上に芽を出す」(後に死刑になるが)ではなく「無期はほぼキマリ、土の中で死んでいくか、30~50年もの長い歳月をかけて地上に芽を出す」というのが本当の実態である。
  31. ^ “「無期懲役でも15年くらいで仮釈放」テレビでの大渕愛子弁護士の発言は正しいか?” (日本語). 弁護士ドットコムニュース. (2015年6月22日). https://www.bengo4.com/c_1009/c_19/n_3280/ 2021年1月12日閲覧。 
  32. ^ 因みに、大島愛子が代表として経営しているアムール法律事務所では、刑事事件についての取り扱いについてホームページ上明記されていない。大島愛子自体、刑事事件ではなく日中間の取引などを対象とした中国企業法務を中心とした業務を専門に行っていた
  33. ^ アムール法律事務所. “アムール法律事務所について”. 2021年1月12日閲覧。
  34. ^ 前掲法務省資料によると、2013年から2022年までの無期刑受刑者の仮釈放審理件数350件に対し、検察官の意見照会がなされた事例は282件であり、必ずしもすべてのケースにおいて検察官の意見照会がなされていたわけではなかった。
  35. ^ 従前から、仮釈放の申出は刑事施設の長の申出のほかに、申出によらない地方更生保護委員会の独自権限の行使によっても行なえるものとなっていたが、実際は刑事施設の長の申出のみによって審理が行なわれていた。それゆえ、申請が刑事施設側の恣意に委ねられていた面があり、審理の機会の保証という面に欠けていたとされる[要出典]
  36. ^ 無期刑受刑者の仮釈放審理に関する事務の運用について(法務省保護観第134号)」
  37. ^ なお、これは無期刑受刑者の仮釈放審理のみに適用される措置であり、有期刑の受刑者の仮釈放審理にあたっては、このような措置は採られていないため、たとえば懲役30年の受刑者の仮釈放審理にあたっては、単独の委員による面接で仮釈放を許可することもできるし、被害者や検察官への意見照会を行なわず仮釈放を許可することもできる。
  38. ^ 2000年10月3日 政府答弁
  39. ^ a b 第59回人権擁護大会シンポジウム第3分科会死刑廃止と拘禁刑の改革を考える 基調報告書 p.10-11 日本弁護士連合会(2016年10月6日)


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無期刑

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刑法典 (ポーランド)」の記事における「無期刑」の解説

この最も過酷な刑は、侵略戦争開始117条)や、大量虐殺123条)、国家対す謀議127条)、殺人148条)等の、最も重い犯罪に対して規定されている。25年超えれば仮釈放認められる

※この「無期刑」の解説は、「刑法典 (ポーランド)」の解説の一部です。
「無期刑」を含む「刑法典 (ポーランド)」の記事については、「刑法典 (ポーランド)」の概要を参照ください。

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