おんどぶんぷ 温度分布 thermal distribution
温度分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:13 UTC 版)
地球内部は重力による断熱圧縮により内部エネルギーが増大し、深くなるにつれ断熱的に温度が上昇する。 均質系の断熱変化では以下の式が成立する。ここで S {\displaystyle S} はエントロピー、 T {\displaystyle T} は絶対温度、 P {\displaystyle P} は圧力である。 d S = ( ∂ S ∂ T ) P d T + ( ∂ S ∂ P ) T d P = 0 {\displaystyle {\mbox{d}}S=\left({\frac {\partial S}{\partial T}}\right)_{P}{\mbox{d}}T+\left({\frac {\partial S}{\partial P}}\right)_{T}{\mbox{d}}P=0} 静水圧平衡の式からある深度における断熱勾配が求められる。ここで α {\displaystyle \alpha } は体積膨張係数、 C p {\displaystyle C_{\mbox{p}}} は定圧比熱である。 d T d r = − α g T C p {\displaystyle {\frac {{\mbox{d}}T}{{\mbox{d}}r}}=-{\frac {\alpha gT}{C_{\mbox{p}}}}} 弾性論的に導かれる地震波伝播速度と密度との関係式から、断熱圧縮率 χ s {\displaystyle \chi _{s}} は P波および S波の伝播速度と以下の関係が成立する。 1 ρ χ s = V p 2 − 4 3 V s 2 {\displaystyle {\frac {1}{\rho \chi _{s}}}=V_{\mbox{p}}^{2}-{\frac {4}{3}}V_{\mbox{s}}^{2}} 物質の融点は圧力の増大に伴い上昇し、マントルの2点の深度 a {\displaystyle a} および d {\displaystyle d} における融点の間には以下の関係がある。ここで χ {\displaystyle \chi } は圧縮率である。 τ d τ a = ( χ ρ ) a ( χ ρ ) d {\displaystyle {\frac {\tau _{d}}{\tau _{a}}}={\frac {(\chi \rho )_{a}}{(\chi \rho )_{d}}}} 核を構成する物質については半実験式として以下の式が得られている。ここで τ 0 {\displaystyle \tau _{0}} は常圧における融点、 α {\displaystyle \alpha } は内部圧力に関する定数、 c {\displaystyle c} も定数である。 P α = ( τ τ 0 ) c − 1 {\displaystyle {\frac {P}{\alpha }}=\left({\frac {\tau }{\tau _{0}}}\right)^{c}-1} マントルおよび内核は固体と考えられ、外核は液体である事実から凡その温度分布が求められ、地球中心部の温度は凡そ 6000 - 7000 K と推定されている。 また、地球を構成する物質中に含まれる放射性同位体の壊変により熱エネルギーが生産される。地球内部で発熱源として重要な放射性同位体はウラン238 (238U)、ウラン235 (235U)、トリウム232 (232Th)、およびカリウム40 (40K)である。これらは何れも花崗岩に濃縮されやすく、これらの熱源は何れも地球表面に集中している。地熱の元となる地殻熱流量の数十%は地殻内の熱源により賄われているという計算になる。 マントルは橄欖岩質の物質からなるが、時間的に緩慢な運動に対してはニュートン流体として扱うことが可能である。この長時間のスケールで見ると流体として振舞うマントルは対流による熱輸送が可能となる。
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