だんねつ‐へんか〔‐ヘンクワ〕【断熱変化】
断熱変化
熱相互作用のない状態変化。いろいろな機械や装置における系と周囲の仕事相互作用は、断熱膨張や断熱圧縮によって達成される。熱相互作用をしない系を断熱系という。Clausiusの不等式により、断熱系の状態変化においては、エントロピーは減少しない。すなわち、可逆断熱変化では一定にとどまり、可逆的でない断熱変化では増加する。いかなる相互作用もしない系も断熱系の一種で、孤立系という。Clausiusの不等式により、孤立系の状態変化においても、エントロピーは減少しない。これらをエントロピー非減少の原理といい、熱力学の第2法則のひとつの帰結である。
断熱過程
断熱変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 07:35 UTC 版)
気体の入った容器の体積を、外から熱が加わらないように急激に増加させると、容器内の気体の温度が下がる。これは現在では、容器内の気体分子の運動エネルギーが、容器を押し広げるための仕事に費やされ、その分、容器内の気体分子の運動エネルギーが減少し温度が下ったと定量的な説明でき、熱の運動説の根拠の1つと考えることも出来る。しかし、この現象はカロリック説でも説明が可能( 定量的ではないが)である。 ドルトンは、温度が下がったのは、気体の熱容量が大きくなり周囲の熱を奪ったためだと説明した(この時点ではドルトンはアーヴィン流の熱理論論者だった)。ただし、この理論では、体積が増す、すなわち容器の密度が下がるにつれて熱容量は大きくなり、真空が最大の熱を持つということになる。このことは一見理解しがたいが、気体に熱を加えると膨張して密度が下がるという事実を踏まえれば、当時は納得できるものでもあった。 ラプラス流でもこの現象は潜熱の概念で説明できる。膨張すると、容器内の熱(カロリック)は潜熱となり、知覚されなくなるのである。 断熱変化の現象自体はボイルによって1662年に発見されたが、その後の研究はクレグホン(ブラックの教え子)、ドルトン、ラプラスなど、カロリック説の支持者によって行われた。そして1820年代までは、現在とは逆に、断熱変化はカロリック説の強力な証拠だと考えられていた。しかし、当時の説明は定量的ではなかった。
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