大洪水
洪水物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 07:09 UTC 版)
【エア神の説明により私は船をつくり、自分と自分の家族、船大工、全ての動物を乗せた。6日間の嵐により人間は粘土になった。私の船がニシル山の頂上に着地して7日目、鳩、ツバメ、カラスを放ってみた。私は船を開け乗船者を解放した後で神々に生贄を捧げると、その匂いにつられて多くの神が集って来た。 生き残った者がいることを知ったエンリル神は怒り、ニヌルタ神は言った。「エア以外に誰がこんなことをしようか」と。エア神は「洪水など起こさずとも、人間を減らすだけでよかった。ウトナピシュティムに夢を見させただけで、私は何もしていない。彼らがただ賢かったのだ。今は助かった者たちに、助言を与えるべきであろう」と話す。そしてエンリル神は私と妻に永遠の命を与え賜り、私は遥かなる地、2つの川の合流地点に住むこととなった。】 話し終えたウトナピシュティムは、洪水があったのと同じ6日6晩の間を「眠らずにいてみよ」と告げるが、ギルガメシュは眠ってしまった。ウトナピシュティムに起こされたギルガメシュは帰り支度を済まして乗船、ウルシャナビの船が出る──その時、ウトナピシュティムは妻の執り成しによって、土産としてギルガメシュに若返りの植物「シーブ・イッサヒル・アメル」が海の底にあることを教えてやる。ギルガメシュは足に石の重りを付けて海底を歩きその植物を手に入れるが、帰還途中、泉で水浴びをしている間に蛇がその植物を取って行ってしまった。ギルガメシュは泣き、ウルシャナビと共にウルクへ到着(物語の終わり)。 物語はウルクへ到着したギルガメシュの言葉(第1の書版冒頭部分の繰り返し)で結ばれており、不死希求の旅を終え帰国したギルガメシュが、ウルクの建設を果たしたことが示唆されている。 ギルガメシュにとって旅の成果はいかなるものであったかに注目が及ぶが、不死を得た者が言うには、永遠の命は神々からの贈り物(神の序列に加わっただけ)であってウトナピシュティム自身があずかり知ることではなかった。ギルガメシュは若返りの薬すら手に入れられず、最終的に永眠しているため、旅の果てに永遠の命を諦めたとも、最後には死の恐怖を克服したとも受け取れるというが、書版によっては旅の最後にギルガメシュが「やすらぎを得た」とあり、旅の途中で出会った人から「今ある生を謳歌するように」と諭されていたことからも、何らかの答えを見出したとする説が有力視されている。ただし、そういった感想は著者によって表現、見解が異なる傾向にある。
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