民族の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 09:35 UTC 版)
20世紀に至る前、トラジャ族は自らが固有の民族であるという概念は持っていなかった。オランダの植民地支配とキリスト教伝播がもたらされる以前、トラジャ族は高地にある村内から出ることはほとんど無く、より広い地域を認識していなかった。高地の村々の間では儀式の共通性などが見られたが、方言の多様性や社会階層構造の違い、または儀式を執り行う際の手順の差などにおいて、他のスラウェシ島に住む高地民族とは相違点が確認された。単語としての「トラジャ」は、最初は海岸線の低地に居住する民族が高地民族を指す呼称として用いられたのが最初であり、その意味は「ト」(to)が「人」、「リアジャ」(riaja)が「高地」を指す。結果として、最初に「トラジャ」という言葉が他の「ブギス」や「マカッサル」と言ったスラウェシ島の低地に住む民族の呼び名よりも広く知れたものになった。 トラジャ族は「生」と「死」を同等かつ相対的に捉え、両者には密接な関係が存在すると考えていた。そして、豊穣や生殖には相応の「死」が必要不可欠という概念を持っていた。女性が担う「生」の代表である出産は、上界から魂を呼び込む行為とされた。相対的に男性は「死」を担い、首刈りが村に豊かさをもたらすために必要な義務のひとつと考えていた。このような死生観は、彼らの壮大な葬送の祭礼にも反映した。 オランダ人宣教師の到来によって居住地の南部からトラジャ族としての民族意識が芽生えた。これはタナ・トラジャを訪問する異邦人が増えるにつれ、民族共通のアイデンティティとして醸成されていった。この時期以降、南スラウェシ地区の少数民族は4つのグループに分類された。(i) ブギス族‐人口では多数派となる。船大工や船乗りが多い。(ii) マカッサル族‐低地に住む商人や船乗り。 (iii) マンダール族(Mandarese)‐商人や漁師。(iv) トラジャ族‐高地の米作農家。
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