日本における義務教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 00:58 UTC 版)
「日本の教育」も参照 日本においては、子供を保護する日本国民(保護者)には法律の定めるところにより教育を受けさせる義務があると定められている(日本国憲法第26条第2項前段)。もっとも、すべての日本国民は、法律の定めるところにより教育を受ける権利も有している(第26条第1項)ので、「教育を受ける権利」「教育を受けさせる義務」の双方について法律で定めることが想定されており、これらの条件の整備などは、法律によって行われる。 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。 — 日本国憲法第26条第2項 この規定に基づく教育を「義務教育」と呼称している。そのため、保護者は、学齢期の人を小中学校などに通学するように取り計らう義務がある。これを就学義務(就学させる義務)という。 日本はあくまで「就学義務」であり、「教育義務」という定義ではないので、諸外国によく見られるホームスクーリングは義務教育の履行とはみなされない。 学校教育法の第38条に「市町村は、その区域内にある学齢児童を就学させるに必要な小学校を設置しなければならない。」と定められており、これは第49条で中学校にも準用されている。そのため、市町村(東京都特別区を含む)はこれらの学校を設置する義務がある。これを学校設置義務という。 国は義務教育の対象者の就学を奨励しなければならない。例えば、義務教育国庫負担金制度により義務教育の授業料を無償としたり、貧困家庭には就学援助制度を適用したりするなど、該当者の就学をなるべく保障することになっている。これを就学保障義務という。 義務教育の対象となる学齢期の子女が教育を受ける機会が十分なものとなるよう、事業所はこれらの児童を一般の労働者として使用してはならない(労働基準法による)。これを避止義務という。 以上の4つの義務によって日本の義務教育が成り立っているとされる。ただし避止義務については載せていない解説書もある。 教育基本法、学校教育法の規定によって、子供を保護する日本国民(保護者)の義務については、15歳までの最長9年間は教育段階に応じる一条校に就学させなければならないとされ、義務履行の督促を受けてもなお履行しない者は10万円以下の罰金に処するとされている。しかし、督促について定めた学校教育法施行令第20条・第21条の運用によっては、保護者に対して督促が行われず、保護者は処罰されない。保護者が催促を受けない具体例としては、保護者が子供が学校に就学できるよう充分な便宜を図った上にもかかわらず、子供自身が登校しない不登校の場合などである。これについては、いじめ、校内暴力などの教育問題との関係もある。 ただし、保護者が就学させなければならない子で、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、文部科学大臣の定めるところにより、保護者の義務を猶予又は免除することができる。
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