新型コロナウイルス感染症のPCR検査キット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 06:13 UTC 版)
「ジェネシスヘルスケア」の記事における「新型コロナウイルス感染症のPCR検査キット」の解説
「楽天#新型コロナウイルスPCR検査キットの販売」も参照 新型コロナウイルス感染症のPCR検査キットを開発し(厚生労働省と相談し連絡を取りながら製品開発したとされる)、2020年4月20日から出資元の楽天と共同で販売を開始した。 本キットは検査を希望する本人が綿棒で鼻から検体を採取した後、容器に入れてジェネシスヘルスケアに提出するものである。新型コロナウイルスに特徴的な遺伝子配列を増幅させて検出されるか調べるPCR検査の手法を用い、3日以内で結果がわかるという。ただし、陰性か陽性かを判断するものではなく、新型コロナウイルスの遺伝子配列が検出されたか否かが示される。また、検査試料はウィルスが不活化されているため、集配の際の感染リスクはないとされている。 日本医師会常任理事の釜萢敏は「検体の採取が不適切なら、結果は信用できない。周囲に感染が拡大する危険もある。対策をとれるのか」と批判的な見解を述べている。また、国立国際医療研究センターの感染症専門医である忽那賢志はBuzzFeed Japanの取材に対して「非医療従事者が適切に検体を取れるのか」という問題があると指摘し、「PCR検査が神格化されているように思いますが、偽陽性や偽陰性が起こり得るものであり、完璧な検査ではありません」と述べている。 また、楽天代表取締役会長兼社長であり、ジェネシスヘルスケアの社外取締役でもある三木谷浩史は、4月22日に「日本復活計画」と題した発表を政府の会議で行った。この中で三木谷は「オールジャパンで一刻も早く全国民のセルフPCR検査(無料)を実行するべき」とし、アメリカ食品医薬品局(FDA)が4月20日に在宅での自己採取PCR検査キットの使用を承認したことを引用している。これに対し、免疫学を専門とする医師の峰宗太郎は「三木谷氏がプレゼンで引用しているニューヨーク・タイムズ紙で取り上げられている自己採取式のPCR検査キットはFDAのEUA(Emergency Use Authorizations)という緊急承認を得ているもの」とした上で「医師の判断で指示があった場合に購入可能であり、医療従事者と地域も限定されて販売」されているものであり、楽天・ジェネシスヘルスケアが販売しているものとは異なると述べている。また、アメリカでも同様に複数の会社が無認可のキットを販売しており、それらの会社の多くがキットの販売を停止していると指摘し、「アメリカでいえばこの無認可の自宅検査キット(unauthorized home kits)に相当するものであり、どこの審査も受けていないという意味で非常に危うく、問題が起こる可能性もあります」と批判した。 科学雑誌のニュートンなどに寄稿しているサイエンスライターの島田祥輔は、ジェネシスヘルスケアによる遺伝子解析サービスの技術力や研究への意欲は高いと評した一方で、病気の診断を行っている企業ではないと指摘した。その上で、検査キットの発売を提案したのが楽天側かジェネシスヘルスケア側かはわからないものの、PCR検査の難易度を知っているはずのジェネシスヘルスケア側が中止を提言すべきものであったと批判している。 2020年4月28日に創業者で代表取締役の佐藤バラン伊里の経歴詐称疑惑が報じられ、同日の取締役会で佐藤が辞任したことを受け、楽天は4月30日、ジェネシスヘルスケアの新しい経営体制やコンプライアンス体制を精査するため、販売を見合わせることを発表した。 ジェネシスヘルスケア社は夕刊フジの取材に対し、佐藤の辞任は経歴詐称疑惑の報道とは関係ないと否定し、「もともとPCR検査キットは医療従事者への提供が主な目的だった。楽天側の働きかけでターゲットを法人向けに範囲を広げたが、結果的にそれが混乱を招いてしまった。今回の辞任は混乱を招いたことが理由になる」 と答えている(しかし、同年4月には顧問、8月には取締役副会長として職務を継続している)。 2020年6月8日に新型コロナウイルス感染症のPCR検査を再開。唾液検体郵送を用いた検査を行うとしている。
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