左右の定義と宇宙人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 08:43 UTC 版)
宇宙人に写真や模型などの実物を送らずに、言葉や論理だけを通信して左右を伝えることができるか、というポピュラーサイエンス上の問い掛けがある(オズマ問題)。相手が宇宙人であるので、ヒト同士のように、心臓のあるほうが左、といった定義が使えない。 上と下は重力に対して定義し、上下軸に直交する1本の軸を前後軸として定義する。その2本と直交する最後の軸が左右軸であるが、どちらが右でどちらが左であると、伝える事ができるだろうか。 テレビなど映像通信で伝える不可。あらかじめ左右の方向が伝達できていなければ、走査方向が右から左となるか、あるいは左から右となるかが決められない。 ガウス平面の虚数軸・実数軸を上下・左右とする不可。図を書く際、どちらの方向を正とし、負とするかはまったく暗黙の了解によっているから。 2つのベクトルの外積によって得られるベクトルの方向不可。これを右ネジの進む方向としているのは約束事にすぎない。宇宙人は左ネジの進む方向として扱っているかもしれない。 アンペールの右ねじの法則、フレミングの右手の法則不可。磁力線の方向の定義(N極とS極の定義)が約束事に過ぎないため。 パリティ対称性の破れ正物質で構成されている世界においては可。反物質で構成されている世界に対しては不可。例えば、反コバルト60のベータ崩壊を観測して左右を決定すれば、地球人が考える左右とは逆になる。 なおこれを非常に大雑把なイメージで喩えると、重力が常に真下に働くとある平面上に(自立困難な)円盤を転がして、進行方向を前方に(言わば遠ざかっていくのを)眺めた時に、倒れやすい方向が右であり、その反対側が左である言った具合に説明できる。 円偏光で通信する等、左右非対象の性質を持つ通信媒体を用いるこのような解答は、ネジのように左右の模型となる物を直接送付しているのと同じで、「通信内容によって左右を伝える」という題意を満たしていない。 このように、実物なしに、言語等論理のみで左右を伝えることは、極めて難しいことがわかる。
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