州裁判所の判例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 21:16 UTC 版)
「著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)」の記事における「州裁判所の判例」の解説
過去には未発行の著作物は主に州法、発行後の著作物は連邦法で保護される二元的な法体系であったが、1976年制定・1978年施行の著作権法改正(英語版)によって未発行の著作物も連邦著作権法で保護されることとなったことから、1978年以降は州法のコモンロー・コピーライト (判例法) による保護を求める機会は減少している。 判例の通称判決年裁判所(判例集番号)争点著作タイプ判決訴訟概要と判決要点特筆性プッシュマン対ニューヨーク・グラフィック・ソサエティ裁判(Pushman v. New York Graphic Society, Inc.) 1942 NY Court of Appeals(英語版)(287 N.Y. 302; 39 N.E.2d 249; 52 U.S.P.Q. 273) 権利移転、所有権と著作権、未発行の著作物 美術(絵画) 訴訟概要を参照 画家ホブセップ・プッシュマン(英語版)の1930年作 "When Autumn is Here," が、NYグランド・セントラル駅内に位置するギャラリー(英語版)を介して同年にイリノイ大学に売却された。通常このギャラリーでは売却先が複製ビジネスを手掛けている場合は複製権についても交渉するが、本件では対大学ということもあり、プッシュマンは複製権について留保とも譲渡とも主張していなかった。10年後の1940年、大学は本件の被告たるNYグラフィック・ソサエティ社に複製権を転売したことから、プッシュマンが差止命令を求めて提訴した。絵画は当時の連邦著作権法 (1909年改正ベース) 上では「未発行」の扱いとなり、連邦法の保護対象ではなかったことから、州法のコモンロー・コピーライトに基づいて審理された。NY州上訴裁は所有権 (有体の絵画実物をコントロールする権利) と著作権 (無体の知的財産権) は別の概念であるとしつつも、絵画実物を売却した際に意思表示がなかったことから著作権の一部たる複製権も同時に売却先に権利移転したとみなし、プッシュマンの訴えを退けた。
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