専有部分(せんゆうぶぶん)
専有部分
専有部分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/23 21:44 UTC 版)
専有部分(せんゆうぶぶん)は、区分所有権の目的たる建物の部分をいい、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、法令(日本では建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」))によって、それぞれ個別の所有権の目的とされるもの(同法第1条、第2条第3項)をいう。分譲マンションの各室などがこれにあたる。英語には、exclusively-owned area と訳される[1]。
注釈
- ^ 国土交通省はマンション標準管理規約として、住宅専用と住宅・店舗複合用途のものを作成している。日本の場合、オフィスビルとしての区分所有建物は決して多くないが、都市再開発法の施設建築物では、権利変換の関係で事務所の区分所有が成立することがある。
- ^ オフィスビル、賃貸マンション等の場合は、専有部分に当たる部分ごとに賃貸借契約の対象とされる場合がある。ここでは、賃貸借の対象となる部分の床面積の比率をレンタブル比と呼び、ビルの収益性の指標の一つとされる。
- ^ 壁、床、天井等の境界部分すべて共用部分であり、境界部分によって取り囲まれた空間部分のみが専有部分とする「共用部分説・内壁説」、境界部分は共用部分でなく、その厚さの中央までが専有部分に含まれるという「専有部分説・壁心説」、そして「折衷説・上塗説」である。
- ^ マンション管理センターは、「配管・配線の本管、本線は共用部分であり、枝管・枝線は専有部分と考えられます(ただし、枝管・枝線であっても共用部分内にあるものは共用部分となります)。各専有部分のためにのみ存在する枝管・枝線は、(中略)専有メーターがある場合にはそのメーターまでを共用部分とし、専有部分内の配管・配線は専有部分に属することになる」と解している[1]。
- ^ オフィスビルにおいては、空調を中央一括制御にする場合も多く、これが区分所有建物の場合、空調の配管等における専有部分と共用部分との境界が問題となる。
- ^ 公営住宅では、ピアノ演奏をめぐるトラブルから殺人事件に発展した事例もある。
- ^ a b 運営:不動産適正取引推進機構「専有部分の用途違反に対する使用禁止請求」(棄却) 東京地方裁判所(地裁)判決 2005年6月23日(判例タイムズ 1205号 207頁)
- ^ 管理規約の他に、これに基づく細則も対象となる。さらに標準管理規約は、貸与に係る契約に借主の規約等遵守を規定することも定めている。
- ^ a b c 区分所有法第6条第1項に規定されている行為が対象である。
- ^ マンション管理費等の滞納と管理組合による競売請求 東京地裁判決 2006年6月27日(判例時報1961号 65頁)、迷惑行為者の専有部分の競売申立て (判決年月日等不明)
- ^ 専有部分の所有者は共用部分の共有持分を持つため、単独で共用部分の保存行為ができる(民法第252条)。
- ^ 日本の新築マンションの場合、専有部分となる内装クロスやフローリング等は後に取り替えがきくということから建築費の配分を考慮し、入居者に委ねる傾向が見られる(高橋文雄『マンションデベロッパーの仕事の流儀』住宅新報社、2009年、184頁。ISBN 9784789231350。)。
- ^ 1.階層及び位置、2.日照、眺望及び景観の良否、3.室内の仕上げ及び維持管理の状態、4.専有面積及び間取りの状態、5.隣接不動産の利用の状態、6.エレベーター等の共用施設の利便性の状態、7.敷地に関する権利の態様及び持分、8.区分所有者の管理費等の滞納の有無
- ^ 「区分所有建物及びその敷地」という。
- ^ 同一業者が建築したマンションによる眺望阻害 札幌地裁判決 平成16年3月31日(不動産適正取引推進機構の解説)、花火の観望と近隣で別のマンションを建築した売主の責任 東京地裁判決 平成18年12月8日(判例時報1963号 83頁)(判例タイムズ1248号 245頁)
出典
- ^ 編著:財団法人日本不動産研究所『不動産鑑定評価基準の国際化』住宅新報社、2008年、150頁。ISBN 9784789227889。
- ^ マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条
- ^ a b 国土交通省『マンションの管理の適正化に関する指針』 2001年
- ^ マンション管理センター「FAQ」
- ^ 区分所有法第4条第2項
- ^ a b 標準管理規約(単棟型)第7条第2項第1号(天井、床及び壁)、第2号(玄関扉)、第3号(窓枠、窓ガラス)
- ^ 標準管理規約(単棟型)第7条第3項
- ^ 不動産鑑定評価基準運用上の留意事項各論第2章
- ^ 吉野『写真と図でみる不動産の見方・調べ方!』p.78
- ^ 同法第14条第3項
- ^ マンション管理センター「FAQ」
- ^ b:不動産登記法第44条
- ^ マンション管理センター『米国及びドイツの共同分譲住宅の維持管理に関する調査報告』 p.13 - 2010年4月17日閲覧
- ^ 標準管理規約(単棟型)第14条
- ^ 「第98回 ありがちなマンショントラブル Q&A問答集(続編)マンション - 日経住宅サーチ」2010年4月17日閲覧
- ^ 標準管理規約(単棟型)第18条コメント
- ^ マンション管理センター「判例解説」
- ^ 宅地建物取引業者業務停止処分事例:ペット飼育禁止の不告知(不動産適正取引推進機構『トラブル事例データベース』)
- ^ 標準管理規約(複合用途型)第12条
- ^ 標準管理規約(複合用途型)第3条、(単棟型)第3条
- ^ 標準管理規約(単棟型)第19条
- ^ 仙台市「住まいのセミナー」 2010年4月17日閲覧
- ^ 標準管理規約(単棟型)第67条
- ^ 区分所有法第57条
- ^ 区分所有法第58条
- ^ 区分所有法第59条
- ^ 区分所有法第6条第2項
- ^ 標準管理規約(単棟型)第21条
- ^ 不動産協会『中高層住宅規準』2010年4月17日閲覧
- ^ 日経BP社(回答部分は無料の会員登録が必要)2010年4月17日閲覧
- ^ 標準管理規約(単棟型)第17条
- ^ 住宅金融支援機構2010年4月17日閲覧
- ^ 区分所有法第62条第4項
- ^ 区分所有法第63条
- ^ 区分所有法第15条、第22条
- ^ 不動産鑑定評価基準総論第2章、各論1章
- ^ 分譲事例をもととした論証例:不動産鑑定士 山田毅 2010年4月17日閲覧。また、東京都不動産鑑定士協会が分析を行い結果を公開している(40 「首都圏における超高層マンション等の階層別効用比」 - 同協会会員以外にも公開されている)。
- ^ 吉野『写真と図でみる不動産の見方・調べ方!』 p.224
- ^ 宅地建物取引業法施行規則第16条の2
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