宴曲とは? わかりやすく解説

えん‐きょく【宴曲】

読み方:えんきょく

鎌倉中期から室町時代にかけて、貴族武家僧侶の間で流行した歌謡の一。院政時代雑芸(ぞうげい)・今様(いまよう)の系統を引き、これに天台声明(しょうみょう)の節まわし取り入れたもの。作者には天台宗の僧、明空月江などがいる。内容物尽くし道行きの歌で、多く七五調初め伴奏なしの扇拍子で、のちには尺八伴奏歌われた。早歌(そうか)。


宴曲

読み方:エンキョク(enkyoku)

鎌倉・室町時代中世歌謡早歌(そうが)通称


宴曲

主名称: 宴曲
指定番号 2538
枝番 00
指定年月日 2005.06.09(平成17.06.09)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数
時代区分 南北朝室町
年代
検索年代
解説文:  宴曲は早歌【そうか】とも呼ばれるもので、平安時代後期から室町時代末期ころまで歌い続けられその後途絶えてしまった歌謡である。武家中心に流行した宴席の謡いもので、白拍子系統を引き、天台声明しょうみょう】の節回し取り入れ多く七五調つづられている。歌詞曲節ともに謡曲先駆をなしたものである。
 この宴曲を集大成した人物明空みょうくう】(生没年未詳月江)で、その時期は永仁四年(一二九六以前から元応元年一三一九)までの約二三年間であるとされる
 『宴曲撰要目録』は綴葉装冊子本料紙厚手楮紙打紙用いる。紙質書風等から南北朝期まで遡れる古写本認められる内容明空による編成になっており、宴曲集五巻、宴曲抄(上中下)三巻真曲抄一巻究百集一巻などの計一六巻、一六一曲名を収録し、さらに編纂時期作詞・作曲者名を明記している。
 『宴曲』には、坂阿【ばんあ】奥書がある坂阿本と奥書のない無年記本とがある。体裁はともに綴葉装冊子本料紙楮紙打紙用いる。歌詞には墨譜譜、調子点を施すが濁点はない。坂阿(生没年未詳坂口平三盛勝)は、明空弟子道阿から宴曲を相伝された人物で、奥書によれば明徳二年(一三九一)から応永元年一三九四)までの時期書写したことがうかがえる明応六年(一四九七)の宗光【そうこう識語に「此早歌一部十六帖坂阿博士正本也、殊坂阿自筆判形等分明候也」とあり、宗光は坂阿自筆本所持していたことが知られる。宗光(生年未詳一五二三)は、京都府福知山市天寧寺僧侶で宴曲に優れていたとされ、俗名大中臣元実【おおなかとみのもとざね】、金山備中入道呼ばれ明堂みょうどう】とも称した人物で、しかも宴曲で将軍義持義教仕えたことで著名である。他方、無年記本は料紙筆跡等からみて室町時代後期写本認められる。坂阿本と無年記本との相違点は、坂阿本が丁表から、無年記本が丁裏から書き始めることである。
 『抜書』は「春」「花」等の任意の一四曲を抜き書きしその後目録にない「磯城島しきしま】」「蹴鞠【けまり】」の二曲書き継いでいる。南北朝期にまで遡る古写本認められる
 冷泉家時雨亭文庫本は、編者明空没後、ほど遠くない時期の『宴曲撰要目録』を含む最古写本まとまっており、そのうちに坂阿書写本含まれるなど、中世歌謡研究中核になる重要な宴曲の古写本群として貴重である。

「宴曲」の例文・使い方・用例・文例

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