大御堂廃寺跡

国指定文化財等データベース

大御堂廃寺跡

名称：	大御堂廃寺跡
ふりがな：	おおみどうはいじあと
種別：	史跡
種別2：
都道府県：	鳥取県
市区町村：	倉吉市駄経寺町
管理団体：
指定年月日：	2001.01.29(平成13.01.29)
指定基準：	史3
特別指定年月日：
追加指定年月日：
解説文：	鳥取県中部に所在した古代伯耆国府の東約５kmに位置する古代寺院跡である。日本海に流れる天神川とその支流小鴨川の合流点付近にある小盆地内の自然堤防上、標高16mに立地する。地元では古くから基壇の高まりが知られており、昭和２７年に工場の敷地が造成された際に塔心礎と礎石が出土し、近在の小学校に運ばれて現存している。この寺院跡は出土古瓦の特徴からみて７世紀にさかのぼり、山陰地方でも古い初期寺院とされていた。平成６年以降、倉吉市教育委員会が工場の閉鎖に伴ってその敷地内を確認調査を行った結果、伽藍配置や寺域などの概要が把握された。 　伽藍の南辺部は道路にかかり全容は確認できないが、東に塔、西に金堂、北に講堂を配し、回廊が塔と金堂を囲んで講堂に取り付く。金堂は南北棟で東面し、塔に向き合う配置となる。各堂塔の基壇は地覆石や縁石が残り、掘込地業が確認できその規模が推定できる。金堂の基壇は東西１２．３m、南北１８．４mで、乱石積みが確認される。塔の基壇は方９．６mで、中央に大きな心礎の抜き取り穴がある。講堂の基壇は東西３２m、南北１６mである。回廊は西側がよく残り、基壇は幅６．９mで、残っている礎石から桁行３．６m、梁間３．３mの単廊に復元される。講堂の北側には僧坊が配置される。基壇は東西４９m、南北１１．８mで、その東西に三房からなる建物２棟が並置される。寺域は南辺が不明であるが、東西約１３５m、南北１６５m以上の規模で、東西は築地、北は明瞭な段が区画施設となる。講堂の北側は盛土による大規模な整地を行っている。西側の築地内側には、一辺約１mの方形の井戸枠状の木枠を据えた深さ約１．２mの遺構がある。この遺構の性格は不分明であるが、木枠の底部には木樋が取り付けられており、これより西方９６mにわたって木樋が埋設されていた。 　出土遺物には、多量の瓦類のほか土器・木製品・金属製品が豊富にある。瓦は鬼瓦２種のほか軒丸瓦１４種類、軒平瓦４種類があり、７世紀中頃から８世紀後半にわたるものと考えられる。最も多いのは７世紀後半から８世紀前半のもので、このころ伽藍が整備されたものと推定される。ほかに專仏や石造菩薩立像、銅製の匙・獣頭、仏具の鋳型など仏教関係の注目される遺物も多い。文字資料には郡名と同じ「久米寺」の墨書土器、これを略したとみられる「久寺」の墨書土器・施印土器がある。 　この寺院跡は文字資料や伽藍の規模や構成からみて、久米郡の郡司層が関係した、久米郡を代表する有力寺院と考えられる。近くに７世紀では東伯耆屈指の規模の横穴式石室を内蔵した史跡三明寺古墳があり、在地の有力豪族の存在が知られることや、古代山陰道の推定路線が寺域の南に想定されることもそれを裏付ける。山陰地方を代表する初期の古代寺院として貴重であり、史跡に指定し、保護を図ろうとするものである。

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大御堂廃寺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/04/12 23:38 UTC 版)

大御堂廃寺跡（おおみどうはいじあと）は、鳥取県倉吉市駄経寺町にある古代寺院跡。元々の寺名は「久米寺」と推定される。国の史跡に指定され、出土遺物は鳥取県指定保護文化財に指定されている。