南瞻部洲大日本国正統図
主名称: | 南瞻部洲大日本国正統図 |
指定番号: | 35 |
枝番: | 0 |
指定年月日: | 1987.06.06(昭和62.06.06) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 歴史資料 |
ト書: | |
員数: | 1幅 |
時代区分: | 室町 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 本図は、奈良時代聖武天皇の時に行基が作成したと伝承される行基式日本図の一つである。 料紙に厚手の楮紙を用い、図中央に九州・四国を上にして日本の全体図を描いている。図中には国名、国の等級を記し、山城国から諸国に至る街道を朱線で示し、九州と壱岐の中間には入唐道を記し、淡褐色に彩った海を隔てて大唐、羅刹【らせつ】国もみえている。図の四周には各国ごとの郡数、郡名、田数等を列記し、国府所在の郡名下には「〓」と朱注している。これらの注記は、天文十七年(一五四八)に完成した『運歩色葉集【うんぽいろはしゆう】』とよく符合している。上段中央には「南瞻部洲/大日本國/正統圖」と題があり、その左右には「行基菩薩圖書之」「藤照年中用明天皇御宇、定五畿七道也」「文武天王御宇分六十六箇国也」と記され、下段右には「日本國中郡郷村里田畠并佛宇神宮人家男女等員数目録」を掲げている。 本図には成立年代を明らかにする年紀等はないが、筆跡等よりみて室町時代末期の成立と考えられ、行基式日本図の第Ⅳ型(志摩国が本州と離れ、羅刹国、雁道があり、かつ第Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型にない松嶋、東夷東嶋、伊々嶋の三島が描かれている)に属するものである。 現存する中世の日本図は、他に既指定の仁和寺図、後掲の金沢文庫図の三図のみで、本図は中国や西欧において作成された日本図の祖形となるもので、仁和寺図等にない形態、注記を伝え、完存する唯一の中世日本図として学術研究上に注目される。 |
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