先進的技術と影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 04:52 UTC 版)
「シャパラル・カーズ」の記事における「先進的技術と影響」の解説
シャパラルの技術的挑戦は非金属素材によるモノコック製造、サイドラジエターなど後のレーシングカーデザインで一般化する手法を先取りするものだった。ドライバーをクラッチ操作から解放するセミAT変速機は、1980年代にポルシェ・962が実験的にPDK(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載。F1ではフェラーリ・640以降、1990年代に全チームに普及している。 ウィングに関しては、1920年代の速度記録挑戦車から高速走行中の揚力発生を抑えるために装着した例はあった。しかし、可動装置やハイマウント方式、リアサスペンションに直接作用する設計は斬新かつ合理的であり、ダウンフォースを利用してタイヤのグリップ力を増し、コーナリング性能を高めるという発想はレーシングカーの空力設計の新たなスタンダードとなった。Can-Amのライバルチームもこれらを模倣し、日本でも日産・R381がウィングが左右独立して角度調節できる「エアロスタビライザー」を搭載し、1968年の日本グランプリで優勝する秘密兵器となった。F1でも1968年中頃からサスペンション直結式のハイマウントウィングが流行し、物干し竿のような前後2本立てのマシンも現われた。 しかし、この方式には路面からの振動でウィングの支柱が損傷するという危険があり、実際にシャパラルも何度かトラブルに遭っている。F1で起きた重大事故を重く見た国際自動車連盟 (FIA) は1969年中頃に「エアロパーツは車体に固定され可動してはならない」とする新規定を発効し、ウィングの高さや位置も制限した。これによりFIA統轄下のカテゴリでシャパラル流のウィングは使用できなくなった。 2Jの強制排気システムは可動エアロパーツとみなされるのか、シャパラルは主催者のSCCAに問い合わせた上でレース出場に踏み切った。SCCAは他チームから抗議を受けても合法との判断を示したが、のちにFIAの方針に従う形で使用禁止処分を下した。しかし車体下面の負圧状態で路面に吸い付くというコンセプト自体は、1970年代後半のグラウンド・エフェクト・カーに受け継がれる(シャパラルと同様に気密用の可動式スカートを装備した)。1978年には2Jの再現ともいえる「ファンカー」ブラバム・BT46Bが登場し、デビュー戦のスウェーデンGPで優勝した。デザイナーのゴードン・マレーはファンが空力付加物ではなくエンジン冷却用と主張して承諾を得たが、結局これも禁止された。
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