催眠感受性の測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 09:53 UTC 版)
催眠感受性の測定には、標準化された尺度を用いる方法と、単一の暗示を用いる方法がある。前者の方法は、後者の方法に比べ正確に催眠感受性を測定することができる。しかし、測定に長い時間がかかってしまうため、時間に制約がある場合には後者の方法が使われる。 標準化された尺度の例を示す。スタンフォード催眠感受性尺度には、A型・B型・C型という三つのバージョンが存在するが、このうち最も有名なのはC型(SHSS:C)である。SHSS:Cの測定時間は、およそ一時間である。 スタンフォード催眠感受性尺度(SHSS:A,SHSS:B,SHSS:C) スタンフォード催眠臨床尺度(成人用)(SHCS:Adult) スタンフォード催眠臨床尺度(小児用)(SHCS:Child) スタンフォード催眠感受性尺度C型(SHSS:C)【現代催眠原論第七章図2より引用】項目催眠暗示反応通過基準1. 手の下降 10秒以内に6インチ以上下がる 2. 手が離れる 10秒以内に6インチ以上離れる 3. 蚊の羽音・刺され感 しかめっ面、追い払い動作、または暗示効果を認める 4. 味覚の幻覚 甘み、後に酸味に変化 ともに体験またはどちらかを強く体験する動作 5. 腕の硬直 右 10秒以内に2インチ以下しか曲がらない 6. 夢 眠りと夢(2分間)、後に健忘 夜間夢に相当する体験 7. 年齢退行 現在の名前、年齢、日付を記入/小学5年生に退行して、名前、年齢、日付を記入/2年生に退行し、名前、年齢を記入/後に現在への年齢進行 現在と退行した事象のうちのひとつと筆跡に明らかに違いがある 8. 手の不動 右、重くて上がらず 10秒以内に1インチ以内の効果 9. 嗅覚麻痺 アンモニア臭 アンモニア臭を感じない 10. 幻聴 このオフィスで壁にあるスピーカーを通じて年齢や出生地を尋ねている 幻聴・幻覚があったサインを示す 11. 陰性幻覚 赤、白、青の三個の小さな箱を見せ、箱が2つあると暗示される 幻覚の確認 12. 後催眠性健忘 項目11番までの項目の再生 3つまたはそれ以下の再生 スタンフォード催眠臨床尺度(成人用)は、スタンフォード催眠感受性尺度のテスト項目を臨床用に直したものである。 スタンフォード催眠臨床尺度(小児用)は、スタンフォード催眠臨床尺度(成人用)を小児向けに改訂したもので、目を開けたままでテストが実施できるよう工夫されている。(六歳以下の子供には閉眼は困難と考えられるため) 単一の暗示の例を示す。 腕降下テスト シュブレール振り子(Chevreul's Pendulum)テスト 両手の接近不能テスト 腕降下テストは、クライアントに「腕が下がる」という意の暗示を与え、実際にどの程度腕が下がるか測定することによって、催眠感受性を測る方法である。 腕降下テストの例を挙げる。まずクライアントを椅子に座らせ、両方の腕を前に差し出させる。そして目を閉じさせ、クライアントに「自分の腕に水が入ったバケツがくくりつけられている」というイメージを浮かべさせる。このときの腕の下がり具合で、催眠感受性を測る。 シュブレール振り子(Chevreul's Pendulum)とは、数十cm程度の紐におもりをつけた装置を指す。もしくは、前述の振り子を指で持って「振り子が動く」と期待すると、意識的に振り子を動かそうとしなくても振り子が動く現象をいう。大学生と大学院生、37名に行ったシュブレール振り子とSHSS-Cの点数の関連を調べた実験では、シュブレール振り子の振れ幅が大きくなるほどSHSS-Cの点数が大きくなる結果が得られた。
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