年齢退行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 13:50 UTC 版)
年齢退行(age regression)とは、セラピストがクライアントにある出来事を思い出させるために、クライアントの年齢をその出来事が起こった日付まで戻す技法である。 年齢退行によって、意識されていなかった記憶や知識が回復する場合がある。例えば、第二次世界大戦中に収容所で生活していた日系アメリカ人を子ども時代に退行させたところ、日本語を正確に話したという事例がある。この日系アメリカ人は、それまで日本語を話せなかった。 ただし回復した記憶は必ずしも正しいとは限らない。年齢退行により子供時代に戻ったような感覚になることはあるが、あくまでもそれは子供時代を想像して再現したものであり、本当に子供時代に戻ったわけではない。年齢退行で生じる記憶には、多くの偽の記憶が混じっている可能性がある。 年齢退行を用いた治療法の実例としては、ワトキンスが公表した症例が挙げられる。三十五歳の女性は強い食欲による暴食に悩んでおり、催眠暗示も試したが効果に限界があった。そこで年齢退行によって、直近で暴食をしてしまった所から赤ん坊の年齢まで退行し、原因を探ったものである。
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