健康と安全性に対する危険性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 00:28 UTC 版)
「セシウム」の記事における「健康と安全性に対する危険性」の解説
セシウム化合物は普通の人にとっては滅多に触れることがない物質だが、大部分のセシウム化合物はカリウムとセシウムの化学的類似性に由来するわずかな毒性がある。大量のセシウム化合物への曝露は刺激と痙攣を引き起こすが、それほどの量の自然中におけるセシウム源とは通常遭遇せず、環境化学においてセシウムは主要な汚染物質ではない。マウスにおける塩化セシウムの半数致死量 (LD50) の値は体重1 kgあたり2.3 gであり、これは塩化カリウムおよび塩化ナトリウムの値にほぼ等しい。 金属セシウムはもっとも反応性の高い元素のひとつであり、水との接触に際して非常に高い爆発性を有する。金属セシウムと水との反応によって生成する水素ガスは、その反応と共に放出される熱エネルギーによって加熱され、発火と激しい爆発を引き起こす。 2 Cs + 2 H 2 O ⟶ 2 CsOH + H 2 ↑ {\displaystyle {\ce {2 Cs + 2 H2O -> 2 CsOH + H2 (^)}}} NFPA 704 3 3 2 W 金属セシウムに対するファイア・ダイアモンド表示 そのような反応は他のアルカリ金属においても起こるが、セシウムにおいては、この爆発が冷水によっても十分引き金となり得るほどに強力である。金属セシウムは非常に強い自然発火性を持ち、空気中において自然に発火して水酸化物やさまざまな酸化物を形成する。水酸化セシウムは非常に強い塩基であり、ガラスは速やかに腐食される。 放射性物質の漏洩に由来して、同位体元素のセシウム134およびセシウム137は少量が生物圏に存在しているが、場所によって異なる放射能負荷の指標となる。放射性セシウムは放射性ヨウ素や放射性ストロンチウムなどの他の多くの核分裂生成物ほど効率的には体に蓄積しない。他のアルカリ金属と同様に、放射性セシウムは尿と汗によって比較的早く体から洗い流される。一方で、放射性セシウムはカリウムとともに取り込まれ、果物や野菜などの植物の細胞に蓄積する傾向がある。汚染された森で放射性のセシウム137をキノコが子実体に蓄積することも示されている。湖へのセシウム137の蓄積はチェルノブイリ原子力発電所事故後に強く懸念されていた。国際原子力機関などは、セシウム137のような放射性物質は放射能兵器もしくは「汚い爆弾」に用いることが可能であると警告した。チェルノブイリ原子力発電所事故で放出された放射性セシウムによる健康リスク調査でも、危険性の程度に関して様々な主張がある。
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