体制に関するもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 00:41 UTC 版)
体の基本的な構成や器官の基本的設計などといった、直接的な適応とは見なせない部分に、系統の違う群で似たような方向の変化が見られる場合がある。これをも平行進化と呼ぶ場合もある。 たとえば、脊椎動物の目はレンズと網膜を備えたカメラ眼と言われる構造をもつが、ほぼ同じ構造の目がタコやイカなど頭足類に見られる。これらの間の系統関係は遠く、眼そのものの起源はともかく、この構造は全く独立に発達したものである。また、両者に共通の生態的地位や類似した選択圧を考えるのも難しい。 また、体節制は体の基本的な構成であり、環形動物と節足動物によく発達したものが見られる。これら二群は共通の系統に属する分類群と考えられてきたが、近年これらが全く異なる系統に属するとの説が浮上した。もしそうであれば、これらに見られる体節制は、独自の起源を有するものであると考えられるから、これは平行進化の結果と言える。 藻類においても、複数の分類群において、単細胞、一列の細胞からなる糸状体、多核体、分枝した糸状体など単細胞から多細胞に至る様々な型が見られ、それらは多細胞化の系列を示すものと見られる。つまり、様々な群において多細胞化が並行的に起きたことを示すものと考えられている。ただし、これらの群における体制の多様性を、適応放散と見た場合、ちょっと異なった現象と考えなければなるまい。 菌類のツボカビ門のサヤミドロモドキと卵菌類であるミズカビ類との類の場合も、似た状況がある。いずれもよく発達した菌糸を水中に伸ばして生活し、その姿はよく似ている。以前はいずれも鞭毛菌という共通の群に属する菌類と考えられたが、現在ではミズカビは菌類ではなく、藻類に類縁のある、全く異なった系統のものであることが認められているから、この両者の関係も平行的である。同時に、この両分類群においても、細胞内寄生の単細胞から、多核体菌糸に至る様々な体制のものが知られており、藻類の例と同じような平行性を示している。
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