井上準之助と金解禁断行とは? わかりやすく解説

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井上準之助と金解禁断行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 03:12 UTC 版)

金解禁」の記事における「井上準之助と金解禁断行」の解説

1929年昭和4年7月新しく成立したのは濱口雄幸首班とする立憲民政党濱口内閣である。新内閣の大蔵大臣には、元日本銀総裁で元大蔵大臣第2次山本内閣)の井上準之助任命された。立憲民政党は「金解禁断行」と「放漫財政整理」を公約掲げていたが、日銀総裁大蔵大臣歴任した井上にはその旗振り役が期待されのである井上直ちに「旧平価による金解禁実施」を主張して、その準備のために緊縮財政実施の上財政支出抑え為替相場回復させることを表明したのである濱口井上金解禁財政再建とともに重要視していたのは、産業構造改革であった明治時代以来政府官僚軍部)と政商財閥もたれ合いの上発達遂げた日本産業国際競争力は、決して強いものとは言えなかった。特に、第1次世界大戦後不況長期化は、こうした日本経済の悪い体質にあると、濱口井上考えた金解禁によるデフレ財政緊縮によって一時的に経済状況悪化しても、問題企業整理経営合理化による国際競争力の向上は進み金本位制が持つ通貨価値為替相場安定機能国際収支均衡機能発揮されて、景気確実に回復するはずであると考えたのである。 まず、井上は、前内閣定めた昭和4年当初予算の5%にあたる9,000万円カット行い予算総額16億8千万円)、続いて昭和5年予算緊縮予算予算総額16億1千万円)とした。また、公務員給与の1割カット提唱した(ただし、実行されず)。さらに、津島寿一再度アメリカ・イギリス派遣してアメリカ・イギリス銀行から1億円相当のクレジット約束取り付けた11月19日横浜正金銀行)。また、日本銀行には公定歩合引き上げを、横浜正金銀行には円為替への介入外貨集積指示した。これによって保有外貨が3億ドル増加し為替相場48ドルまで戻った。これを見た濱口内閣は、同年11月21日来年1930年昭和5年1月11日をもって平価による金解禁実施することを発表した大蔵省省令)。井上金解禁目的を「財界安定」・「国民経済根本的建直し」・「日本経済世界経済への常道復帰」・「金本位制擁護」・「日本の経済力の充実発展」の5点掲げ金解禁に伴う景気への悪影響最小限抑制するために国民に対して消費節約国産品愛用訴えた。 ところが、この少し前の1929年昭和4年10月24日ニューヨーク株式市場ウォール街)の株価大暴落発生してアメリカ経済大混乱に陥っていた(「暗黒の木曜日」)。これが後の世恐慌きっかけになるが、当初日本国内ではその影響について意見まちまちであった。これを見た新平価論」を唱えていた石橋経済評論家アメリカ経済動向危惧する三菱財閥各務鎌吉らは、旧平価での金解禁強く反対した。一方三井財閥池田成彬中心とした金融界は、これ以上金解禁遅延許されないとして金解禁支持井上も、工業国では10年1度ペース恐慌発生していたことから、今回恐慌通常経済範囲内出来事考えたために方針変更を行わなかった。 そして、1930年昭和5年1月11日当初の予定通り「金2分=1円=0.49875ドル」(1ドル=2.005円)の旧平価による金解禁実施されのである

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