ユーロ危機
別名:ユーロクライシス
英語:Euro crisis
欧州連合の共同通貨であるユーロの通貨価値が崩壊する危機。特に2011年現在、ギリシア危機を発端として深刻化している「欧州債務危機」によるユーロの崩壊の危機のこと。
2009年、ギリシアで政権交代が実現し、同国の過去10年以上にわたる巨額の財政赤字が暴露された。これが引き金となり、ギリシアも通貨として採用しているユーロの貨幣価値も下降している。
ギリシアの国債を大量に保有しているフランス・ベルギー系の大手金融機関「デクシア」は、2011年10月に両国政府からの公的支援を受け解体・再編成が行われることが決定した。ヨーロッパの金融機関が欧州債務危機によって事実上の経営破綻に至った初の事例となった。
2010年欧州ソブリン危機
(ユーロ危機 から転送)
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2010年欧州ソブリン危機(2010ねんおうしゅうソブリンきき)または、欧州債務危機(おうしゅうさいむきき)、欧州通貨危機(おうしゅうつうかきき)、欧州経済危機(おうしゅうけいざいきき)、欧州危機(おうしゅうきき)、通称:ユーロ危機(ユーロきき)は、2009年10月のギリシャ政権交代による国家財政の粉飾決算の暴露から始まる、経済危機の連鎖である[注釈 1]。スペイン、ポルトガルなどユーロ加盟諸国(PIIGS)、あるいはハンガリーやラトビアなど中東欧諸国へ波及した場合、世界的な金融危機に発展するかもしれないと懸念されている[1]。2011年以降にもユーロ圏第三位のイタリア情勢が深刻化するなど、欧州不安は広範囲に拡大した。[要出典]
注釈
出典
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ユーロ危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/09 05:40 UTC 版)
ユーロ加盟国が財政危機に陥った場合、他の加盟国も悪影響を受ける可能性があるため、破産しそうな一加盟国を加盟国全体が救済する誘引が存在する。それに対し、財政破綻した国に対する制裁を条約化することによって、各国の財政規律が守られて財政危機が起こりにくくなるかもしれない。
※この「ユーロ危機」の解説は、「コミットメント」の解説の一部です。
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ユーロ危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:19 UTC 版)
「世界金融危機 (2007年-2010年)」の記事における「ユーロ危機」の解説
金融危機後に財政悪化が注目された国々は、債務不履行に近いギリシャとポルトガル、不動産バブルが崩壊したアイルランドとスペイン、巨額の政府債務があるイタリアだった。特にギリシャとアイルランドが債務の再編を必要としていたが、両国の国債は暴落し、緊密な金融システムをもつヨーロッパ全体に波及してユーロ危機が起きた。「トロイカ」とも呼ばれた欧州委員会(EC)・IMF・欧州中央銀行(ECB)の体制が金融支援を行い、2010年5月にギリシャ、2010年11月にアイルランド、2011年5月にポルトガル、2012年にスペインを支援した。2012年7月にECBのマリオ・ドラギ総裁が「ECBはユーロを守るためにやれることは何でもする」と発言し、10月にはECBが無制限の国債購入を行うOMT(Outright Monetary Transactions)を実施して国債の利回りが低下し、沈静化へ向かった。 ユーロ危機後の2011年から2012年にかけてユーロ圏の信頼は低下し、EUに対する支持率が下落した。そのため2014年欧州議会議員選挙では、反EUの議員が多数当選した。イギリスは独立党、フランスは国民戦線、デンマークは国民党、ハンガリーはフィデスが第1党となり、いずれも反EUを掲げる政党だった。
※この「ユーロ危機」の解説は、「世界金融危機 (2007年-2010年)」の解説の一部です。
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