ボディビルと薬物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 06:09 UTC 版)
「ナチュラル・ボディビル」および「ドーピング」も参照 ボディビルディングと薬物とのかかわりは他のスポーツよりも深く、1960年代に薬物の洗礼を受けたと言われる。その結果として、「ボディビルダーは誰も彼もが薬物を使用(ドーピング)している」という誤ったイメージをもつ人も多い。 無制限に薬物を使用し、異常なまでに発達した筋肉で人々の注目を集めるタイプのボディビルダーが存在する一方で、一切薬物を使用すること無く、自然なサプリメント摂取と地道なトレーニングを積み重ねるタイプのボディビルダーが存在する。後者は「ナチュラルビルダー」とも呼ばれる。 通常、この両者は同じコンテストに出場することは無く、各々に専用のコンテストが存在する。ナチュラルビルダーが出場するコンテストにおいては、一般的に厳重な薬物検査が実施され、違反者は即失格となる。中には、薬物を使用していながら、使用していないと偽ったり検査で出にくくしてナチュラルビルダーのコンテスト(筋肉の大きさだけを問うのであれば、ナチュラルの方がレベルが低い)に出場する者もいるため、検査項目にポリグラフ(嘘発見器)を使用しているコンテストもある。 薬物使用ビルダーが、薬物大量摂取による後遺症で健康を損ねたり、あるいはそれが原因で死亡する事が問題となり、それで公然の秘密とされていたボディビルの薬物汚染に批判が集まり、検査が実施されるに至った。しかし、コンテストにおけるボディビルダーを「健康美」の対象としてではなく、「見世物」と考える観客も多く、そういった人々は怪物のような肉体を見ることのみを望み、ボディビルダーの健康には関心が無かった。入賞者に賞金の出る「プロボディビルダー」の大会では、興行のためにそういった観客の「需要」を無視する事ができず、薬物検査をせず、暗に薬物使用を認めることになった。 最近の健康志向の風潮からナチュラルビルダーに対する評価が上がり、「プロのナチュラルビルダー」というカテゴリーも存在するようになった。 ドーピングは筋肉の発達を促すが、かつてオリンピアで"伝説"とまで称されたセルジオ・オリバは薬物により得られる効果に否定的だった。彼は生涯で一度ステロイドを使用し、確かに本人が考えていた以上の筋肉を得られたものの「筋肉が付きすぎる(美しくない)」という理由で使用をやめたと語っている。
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