ウィムズハースト式誘導起電機
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ウィムズハースト式誘導起電機(ウィムズハーストしきゆうどうきでんき、英:Wimshurst machine)は、円盤を回転させる事で静電気を発生させる誘導型の静電発電機。英国の発明家ジェイムズ・ウィムズハーストによって1880年から1883年にかけて開発された。
- 1 ウィムズハースト式誘導起電機とは
- 2 ウィムズハースト式誘導起電機の概要
ウィムズハースト起電機
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「静電発電機」の記事における「ウィムズハースト起電機」の解説
英国の発明家ジェームズ・ウィムズハースト(英語版)は1878年に静電発電機の研究に着手し、ホルツ起電機を改良して2枚の回転板を持つ強力な起電機を作り出した。ウィムズハースト起電機の基本形が1883年に科学界に対して報告されると、その後はもっぱらこの種の起電機が用いられるようになった。ただし、それ以前によく似た構造の起電機がホルツとムーゼウスによって報告されていた。1885年、英国で史上最大級のウィムズハースト起電機が建造された(現在はシカゴ科学産業博物館に展示されている)。 ウィムズハースト起電機。2枚の円板が逆方向に回転し、円板上の小板(セクター)に誘起された電荷がブラシによって吸い取られ、左右のライデン瓶に溜められる。 表側の小板(A 1など)は裏側の小板(B1など)に対する誘導子としてはたらき、導体YY1を介して対向する2枚の小板に電荷を誘起する。ここで帯電した小板は次に導体XX1の位置で表の小板に対する誘導子となる。 小板を持たず、絶縁円板自体が電荷を運ぶ方式のウィムズハースト起電機。 ウィムズハースト起電機は著しく単純な装置で、あらゆる誘導起電機がそうであるように、電荷の静電誘導を利用して発電を行う。要するに、初めに存在していたごくわずかな電荷を利用して新たな電荷を誘起し、それを集めて初めの電荷に付け加え、同じプロセスを何度も繰り返す。ウィムズハースト起電機の構成は以下のとおりである。絶縁された2枚の円板はプーリーに取り付けられ、同軸で逆方向に回るようになっている。円板の外側の面には、金属など導電性の小板が円状に並んで貼り付けられている。それぞれの円板には両側がブラシとなった導体棒が付属しており、この棒でつながれた2枚の小板の間で静電誘導が起きて新たな電荷が誘起される。それぞれの円板に誘起された電荷は各1対の櫛型コレクター電極によって集められる。二つのライデン瓶は電荷を溜めるコンデンサとして用いられる。1対の電極は十分に溜まった電荷を放電するためにある。構造も構成要素も単純であるため、静電気の実験や演示に用いる機器を自作する場合、ウィムズハースト起電機が選ばれることが多い。広く普及したのもこれが理由である。 1887年、A・F・ヴァインホルトはレイザー起電機を改良し、垂直の金属棒に木製の筒を嵌めたものを誘導子として円板の近くに置くことで極性の反転を防いだ。M・L・ルビエはルビエ起電機の作製を報告した。これは基本的にヴォス起電機を簡略化したものであった。1893年、ボネッティは円板にセクター(金属の小板)を取り付けないタイプのウィムズハースト起電機の特許を取得した。ボネッティの装置はセクターつきのタイプよりはるかに強力だったが、外部から電荷を与えてやらなければ運転を始めることができなかった。 1898年、W・R・ピジョン(英語版)は独自の機構を備えたピジョン起電機を作製した。1890年代を通して起電機研究に打ち込んできた末の成果だった。同年10月28日、ピジョンはこれをロンドン物理学会(英語版)で発表した。また後にPhilosophical Magazine (1898/12, p.564, ) およびElectrical Review (Vol. XLV, p.748) で報告した。ピジョン起電機の特色は、静電誘導の効果を高めるために、対向円板のセクターを誘導子とするのに加えて固定誘導子を用いたことと、各部の絶縁性を高めたことだった。特に電荷を運ぶセクターは端子部を除いて絶縁体に埋め込まれていた。ピジョン起電機はウィムズハースト起電機とヴォス起電機を組み合わせた上で電荷のリークを低減したものだといえるが、前身となった装置のいずれよりも容易に電位を高めることができた。またこれに加え、ピジョンは「トリプレックス」・ウィムズハースト起電機(3枚の回転板からなる、中央の回転板を共有する2組の起電機)のセクターを絶縁材に埋め込んで出力電流を増加させる方式を研究し、特許(British Patent 22517 (1899))を取得した。 19世紀末から20世紀の初めにかけて、複数の回転板からなる起電機と、「トリプレックス」起電機(3枚の回転板を持つ)が大きく発展した。1900年、フレデリック・タズベリーは、起電機を金属容器に収めて空気や二酸化炭素で加圧すると、放電耐圧が向上するとともに、プレート間や支柱へのリークが低減することで性能が向上することを示した。1903年、アルフレート・ヴェールゼンはセクター板をエボナイトの回転板に埋め込み、表面には端子だけが突出している方式の起電機の特許を取った。1907年、ハインリヒ・ワメルズドルフは一種のホルツ起電機で、ヴェールゼンと同じ方式の回転板と誘導子をセルロイド板に埋め込んだタイプのものを報告した(DE154175、「ヴェールゼン起電機」)。ワメルズドルフはそのほかにも高性能の起電機を作製したが、そのうち最も有名なのは「コンデンサーマシン」(1920)と呼ばれるものである。単一の回転板にセクターが埋め込まれており、円板の縁からセクターの端が露出している方式だった。
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