アナログ記録方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 06:53 UTC 版)
テープ幅には1/4インチ、1/2インチ、1インチ、2インチがある。テープは幅約6mm(1/4インチ=6.35mm)のものが家庭用でも業務用で一般的であり、業務用録音機はしばしば「6ミリ」と呼称される。1/2インチ幅以上のテープは主にマルチトラック録音用に使用されている。記録は固定ヘッドにより長手方向に行われる方式で、トラック数が複数存在した。トラック幅はNABあるいはDINにより規格化されている。 2トラック:ステレオ録音を片方向で行う方式と、モノラル録音を往復(両面)で行う方式とがある。 4トラック:ステレオ録音を往復で行う方式と、4チャンネル録音を片方向で行う方式とがある。ステレオ録音を往復で行なうときは、トラックは、隣り合わせのトラックでステレオ録音をするのではなく、1つ飛ばしたトラック(たとえば上から1、3番目)を使って録音する。 その他、業務用途では、多チャンネルのマルチトラック・レコーダーもあり、幅広テープを使用している。 タイムコードトラック:音声信号以外に時間情報を記録するトラックを装備する物もある。タイムコードはSMPTEにより規格化されている。マルチトラックに対応した機種では、音声トラックのうち1本をタイムコードトラックに割り当てるのが一般的である。2トラック機の場合は下記のパイロットトラックにタイムコードを記録できるような構成の物がある。 パイロットトラック:タイミング情報を記録するために専用のトラックを装備した物。電源周波数から作成したパルス等を記録するが時間情報は含まれない。映画を含めた映像関係で利用された。 テープの走行スピードが4.75 cm/s(1.875インチ/s)、9.5 cm/s(3.75インチ/s)、19 cm/s(7.5インチ/s)、38 cm/s(15インチ/s)、76 cm/s(30インチ/s)と、いずれもコンパクトカセットのスピードよりも速く、またトラック幅も広いため、その分音質がよい。また、テープ長が長いため、走行スピード(音質)を落とせば、かなりの長時間録音が可能である。しかし、テープの大きさ(リールの直径)が5インチ、7インチ、10インチ、12インチ、14インチと記録時間に比例して大きくなる。 また、テープの厚みによっても最大録音時間が変わる。厚み50 µm が「標準」で、35 µm では録音時間が1.5倍(ロングと称する)、25 µm では2倍(ダブル)、18 µm では3倍となる。テープのベースフィルム材質が改良された後は35 µm テープが実用上充分な強度を持つようになり、タフさが求められるプロ用途では50 µm テープが好んで用いられるが、民生用では35 µm テープが標準的に用いられ、25 µm および18 µm は特に長時間録音が必要な用途に用いられる。1970年代初期まで50 µm テープには独特の臭いを発するアセテートが使われていた。 薄いテープは、同じサイズのリールで長いテープ長を巻くことができる長所があるが、その反面機械的強度が低く(切れやすい、伸びやすい)、手切り編集での作業性が良くない、転写が大きい、などという短所がある。また、薄いテープでは磁性体層も薄くなるので、中低音域での感度および最大出力が低下する。一方、高音域は磁性体表面近くにしか記録されないので磁性体層の厚さの影響を受けにくく、薄いテープでは周波数特性が高音域で相対的に上昇する傾向がある。
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