ČSD 892形架線補修用ディーゼル動車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 05:37 UTC 版)
「チェコスロバキア国鉄810形ディーゼル動車」の記事における「ČSD 892形架線補修用ディーゼル動車」の解説
チェコスロバキア国鉄892形架線補修用ディーゼル動車は、旧型ディーゼル動車改造の架線補修用車の老朽化と電化区間の延伸に対応するため、M152.0形を基本にストゥデーンカ車両国営会社で1981年から1991年にかけて115両新製した架線補修用車(MVTV, Montážní vozy trakčního vedení)である。1988年大改番以前の形式はM153.0形。連邦解消後、チェコ鉄道公団およびスロバキア共和国鉄道に承継され、1997年にチェコ鉄道車はMVTV2形に、スロバキア国鉄車はMVTV02形に改番した。広軌用も作られ(M153.5形→892.8形→MVTV03形)、全車がスロバキア国鉄に承継されている。 機関はLIAZ製ML-634型、変速機はプラガ製2-M-70型液体式自動変速機で、自重は23.5t。架線作業のための5km/hの低速継続運転に適応した設計としている。車内は工作台を備えた作業区画と補修部品収納区画に分けられており、作業員控え室、便所、台所、冷蔵庫が備えられている。屋根上には架線偏倚検測用のシングルアームパンタグラフおよび観測ドーム、碍子で絶縁された幅2,000mmの架線補修作業台が設けられており、観測ドーム下に設けられた階段から昇降する。補修作業台の転落防止柵は折りたたみ式で、車両走行時には半分の高さに折りたたまれる。直流3000V電化区間での活線作業に対応しているが、交流25kV/50Hz電化区間では送電停止が必要である。 2007年にはパルス・ノヴァ株式会社でチェコ鉄道MVTV2.029の近代化更新工事が行われ、MVTV2.1形(MVTV2.1-029)に改番されている。テドム製TD-242-RH-TA-25型機関とフォイト製D-864.3-Diwa型液体変速機に換装し、最高速度を90km/hに引き上げたほか、距離測定用の車軸パルス検出装置や電子制御システムを更新。観測ドーム内に暖房装置を設けるなどした。 チェコ鉄道MVTV2形およびMVTV2.1形は、チェコ鉄道上下分離後の2008年に全車が鉄道輸送路線管理公団(SŽDC, Správa železniční dopravní cesty, s.o./現鉄道管理公団)に移管され、一部はヴィアモント株式会社にも売却されている。2008年現在のMVTV2形、MVTV2.1形、MVTV02形、MVTV03形の所属両数は、鉄道輸送路線管理公団78両(うちMVTV2.1形1両)、スロバキア国鉄37両(うちMVTV03形3両)、ヴィアモント株式会社1両であった。 このほか、チェコスロバキア国鉄測量事務所のトンネルおよび切り通し部の限界測定用写真測量機(FST, Fotogrammetrický stroj)として、1976年にM152.0形の先行試作車M151.0001を改造した892.6形写真測量用ディーゼル動車(892.601)が製造されている。1988年大改番前の形式はFST-2形で、チェコ鉄道に承継され、1997年にFST-2形に再改番されたが、まもなく機関を外して付随車化され、MD-1形(MD-1-1)に改番されている。
※この「ČSD 892形架線補修用ディーゼル動車」の解説は、「チェコスロバキア国鉄810形ディーゼル動車」の解説の一部です。
「ČSD 892形架線補修用ディーゼル動車」を含む「チェコスロバキア国鉄810形ディーゼル動車」の記事については、「チェコスロバキア国鉄810形ディーゼル動車」の概要を参照ください。
- ČSD 892形架線補修用ディーゼル動車のページへのリンク