USBフラッシュドライブ
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USBメモリは、その性質上、情報を長期に渡って保存したり頻繁に書き換えての使用には適さない記録媒体である。
- 書き換え回数の制約
- 使われているフラッシュメモリはその原理上、消去や書き込みの際に絶縁体となる酸化膜を電子が貫通して酸化膜を劣化させるので、書き換え回数に制限がある。フラッシュメモリ、特にUSBメモリや安価なSSDで使用されるマルチレベルセル (MLC) タイプの 素子の書き換え上限回数は、ハードディスクに遠く及ばない。そのため、書き込み操作の頻度が高いと、早期に寿命を迎え正常に読み書きできなくなる(フラッシュメモリの記事も参照)。
- これを回避するために、内部で同じ場所に繰り返し書き込むことを避ける処理が行われ(ウェアレベリング)、書き込むデータ量が同じであるならば、大容量の製品を使った方が、長く持つ。
- 保存期間の制約
- 同じくフラッシュメモリのデータ保持期間には制限がある。書き込みを繰り返したメモリほど酸化膜が劣化してデータの保持期間が短い(詳細はフラッシュメモリを参照)。
- コネクタの制約
- USBメモリの抜き差しを繰り返すと、ゲーム機器などのROMカセットと同様に、USBポートとメモリ側の端子が摩耗したり、ポート側にガタが生じる場合がある。最近は、USBメモリを利用した、パスワード管理機能を利用する場合もあり、当然ログオンなどをするたびに抜き差しするため、大手パソコンメーカーは1万回以上の抜き差しに耐えられるポートを採用する傾向にある。
- 電子部品の制約
- データ記録用のフラッシュメモリを含め、製品そのものが電子部品の集合体(精密機器)であることから、異常な高電圧がかかった場合や、静電気または落雷の影響など電気的な要因により容易に故障し、保存した情報を喪失する場合がある。たとえフラッシュメモリそのものは故障していない場合であっても、高電圧の印加や水没などで周辺回路が故障すれば使用不能に陥いる。また、小型化のために高密度で実装し基板のパターンも細かく、故障した部品を交換するのは困難である。
- ファイルシステムの制約
- 共通のファイルシステムとして使用されているFAT32では、1ファイルのサイズが最大4GBに制限される。4GBを超える空き容量があっても、4GB以上のサイズを持つ大きなファイルは書き込めない。なお、大容量の製品ではexFATを利用することで、ファイル長が16EiBまで利用可能になり、この場合はWindows環境で利用できるほか、exFATのライセンスを得たデジタルカメラなどの電子機器で利用できる。あるいはNTFSでフォーマットしなおせばWindows環境や、NTFSをマウントできるOSで利用できる。その他にも、UNIXやLinuxのファイルシステム(UFSやext2など)でフォーマットして使用することもできる。
- データ転送速度の制約
- USBメモリに広く使われるNAND型フラッシュメモリは1セル当たり2bitないし3bitのマルチレベルセル(MLC)で、1セル当たり1bitのシングルレベルセル(SLC)より書き換え回数や転送速度が制約されるが、転送速度についてはチップを複数搭載して並列化することで向上させることが可能である。一方USBのインターフェースの転送速度の制約も受ける。2011年時点で主流であるUSB2.0ではおよそ20MB/s強である。USB3.0ではより高速に転送できる。
安全上の脅威
USB Killer
USBフラッシュドライブに似通って現れるものでの、USB Killerは、データピンへ高い電圧パルスを給電するときに、USBポートの電源供給ピンを使って高い電圧までコンデンサーを充電するところの(電気)回路である。この完全に'切り離されている'(英: standalone)装置は即座に損傷したままになりうるか、若しくはそれに接続されるいかなる'受け入れ側'(英: host)ハードウェアをも破壊しうる。[38]
ステルスUSB
北朝鮮の税関検査を情報を捉えるレーダー網にたとえ、検査時にデータ量を0バイトで表示し、設定した一定の時間の経過後自動的にコンテンツが活性化するUSBメモリの呼称。韓国メディアが取り上げた。北朝鮮を脱出したITの専門家らが2010年2月に開発し、以来韓国ドラマ映像や自由民主主義に関する内容を入れて北朝鮮に送っていた[39]。
注釈
出典
- ^ “USBメモリとは?正しい知識を身につけて使用しよう”. ロジテック (2019年1月31日). 2020年8月24日閲覧。
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