THE ビッグオー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/07 13:36 UTC 版)
製作
さとうけいいちは『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』の制作を終え、『ジャイアントロボ』とは異なったアプローチでロボットを描こうと試み新たな玩具販促アニメを企画した。当時は超合金魂のようなレトロかつハイターゲットな玩具が発表されており、本作も大人を対象とする玩具化を目指した。その際に大人を取り込むために意識したのは1960年代の海外ドラマや昔のイギリスのスパイものだという。インタビューなどで顕著に表れるのが、デザインワークス等で「Batman The Animated Series」に非常に影響を受けたという点である。『新世紀エヴァンゲリオン』のような「過度のディテール」や『機動戦士ガンダム』のような「設定偏重」である[6] ことを避け、シンプルな描線のテイスト、カートゥーンの基本的なスタイルを目指し『スタートレック』のようにいくらでも話が作れるような自由度のある作品を目指した。
こうして玩具販促アニメとしてプレゼンテーションをしたところ、「保険がない。ガンダムっぽいデザインならまだしも」と言われ玩具化は白紙となり、バンダイビジュアルによる映像化にシフト。片山一良は映像ソフトを売る上でも本作は訴求力があると考えていたが、プロジェクト内では「リスクを負うぐらいならガンダムをやる」という空気が出てきたために、結局サンライズが自らリスクを負うことになり映像化プロジェクトは進行した[6]。
当初は全26話の予定だったが、全13話に短縮されて製作、放送された[7]。このため、結末はセカンドシーズンを匂わせる形のものになっている[7]。その後2000年、アメリカのCS系放送局カートゥーン・ネットワークでの放送によりアメリカでの展開が成功、DVDも全米で好セールスとなり、2001年秋にセカンドシーズンの製作が最終決定し、サンライズ、バンダイビジュアルのみだった製作陣にカートゥーン・ネットワークが加わる[7]。監督によると米国のファンから「あなた方は続きを作らねばならない」とのメッセージが寄せられたとのこと[8]。
セカンドシーズンの製作にあたって、アメリカ側の「物語を完結させて欲しい」という要望を聞き入れている[7]。セカンドシーズンはアメリカでは引き続きカートゥーン・ネットワークで放送された。日本ではUHFアニメとして2002年10月から2003年4月まで放送。10月から12月までは第1話から第13話までのリピート放送。翌年1月から3月に放送された第14話から第26話が正式なsecond seasonである。後年、日本のカートゥーン・ネットワークでも放送した。
桑田二郎など日本のオールド・コミック風にプラスして往年のアメリカン・コミックやカートゥーンを彷彿とさせる、スタイリッシュな画風が印象的な作品である。さとうけいいちによるとアメリカでは「ジェームズ・ボンド的」と言われたそうである[6]。オープニングでビッグオーを含む登場メカが影絵で紹介されるなど、ウルトラマンシリーズへのオマージュを強く感じさせる一方、メカに関しては『レッドバロン』など、昭和の特撮作品の影響が強い。
タイトルの由来は、スーパーバイザーであるさとうけいいちが小学生時代に学級新聞に載せていた4コマ漫画に登場したロボットの名前である[9]。当初は仮のタイトルとしてつけられていて、監督に片山一良の参画後には『クロムガンナー』に決定しそうになったが、さとうの提案により『クロムガンナービッグ・オー』となる[9]。1999年6月時点の企画書には『THE ビッグオー』のタイトルとロゴタイプが記されている[2]。2009年9月にはさとうけいいち完全監修による「超合金魂 ビッグオー」が発売となった。
スタッフ
- 企画 - サンライズ
- 原作 - 矢立肇
- 監督 - 片山一良
- シリーズ構成 - 小中千昭、片山一良
- キャラクターデザイン/メカニックデザイン/コンセプトワーク/スーパーバイザー - さとうけいいち
- アバンタイトル/CG - GONZO OOZ.CO.LTD
- 美術デザイン - 佐藤肇
- 美術監督 - 太田大
- 美術監督補佐 - 加藤浩(第1話 - 第13話)
- 色彩設定 - 片山由美子(第1話 - 第13話)、中里智恵(第1話 - 第26話)、村上智美(第1話 - 第13話)
- 撮影監督 - 桶田一展(第1話 - 第13話)、福士享(第14話 - 第26話)
- 編集 - 鶴渕友彰(第1話 - 第13話)、山森重之(第14話 - 第26話)
- 音響監督 - 鶴岡陽太
- 音楽 - 佐橋俊彦
- 音楽プロデューサー - 野崎圭一
- 音楽制作/協力 - ビクターエンタテインメント、WOWOWミュージック・イン
- プロデューサー - 指田英司(第1話 - 第13話)、内田健二(第14話 - 第26話)、大橋千恵雄、杉田敦
- 製作 - サンライズ、バンダイビジュアル、カートゥーン・ネットワーク(アメリカ[注釈 1])
注釈
- ^ 北米版second seasonのみクレジット。
出典
- ^ オフィシャルガイド 2003, p. 99
- ^ a b オフィシャルガイド 2003, p. 36
- ^ オフィシャルガイド 2003, p. 93
- ^ オフィシャルガイド 2003, p. 39
- ^ 谷口裕貴『THEビッグオー パラダイム・ノイズ』矢立肇(原作)、徳間書店、2003年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-19-861708-2。
- ^ a b c 『GREAT MECHANICS 5』双葉社、2002年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-575-46408-2。
- ^ a b c d オフィシャルガイド 2003, p. 37
- ^ 『宇宙船』2003年1月号、朝日ソノラマ、[要ページ番号]。
- ^ a b オフィシャルガイド 2003, p. 92
- ^ 『THEビッグオー』2,3巻 有賀ヒトシ 講談社 その他インタビューより
- ^ JASRAC作品コード 0U2-1359-9 JASRACにおいては実質上で共作クレジットとするため「ブライアン・メイ:作詞作曲、永井ルイ:訳詞」と登録されている。
- ^ 『THEビッグオー』DVD volume1 ライナーノーツ
- ^ 『THEビッグオー volume7』『THEビッグオー second season1』ライナーノーツより。
固有名詞の分類
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