OS/2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/05 13:05 UTC 版)
開発者 |
IBM Microsoft (1.0から1.3まで) |
---|---|
開発状況 | サポート終了 |
ソースモデル | クローズドソース |
最新安定版 | 4.52 / 2002年 |
プラットフォーム | x86 |
カーネル種別 | ハイブリッドカーネル |
既定のUI | CUI, GUI |
ライセンス | プロプライエタリ |
後続品 | ArcaOS |
ウェブサイト | IBM OS/2 Warp |
名称
正式な製品名は提供元により「IBM Operating System/2」(IBM オペレーティングシステム/2)または「Microsoft Operating System/2」(マイクロソフト オペレーティングシステム/2)である。製品名の最後の「2」は、従来のDOS (PC DOS, MS-DOS)に対して「次世代OS」の意味を持つ。なおIBM同時発表の新しいパーソナルコンピュータの名称は「IBM PS/2」である。
略称は「IBM OS/2」または「Microsoft OS/2」(「MS-DOS」のように「MS-OS/2」と略される場合もあるが正式ではない)。
IBMとマイクロソフトのOS共同開発契約により、PC DOSとMS-DOSと同様に、IBMからは「IBM OS/2」が、マイクロソフトからIBM以外のメーカーへのOEM供給版は「Microsoft OS/2」となった。ただしIBM版のみに拡張版 (EE) が存在した。
バージョン3.0以降はIBM版のみで、「OS/2 Warp」はバージョン3.0から付けられた名称である。
概要
OS/2はIBM PS/2と同時に発表され、IBMとマイクロソフトにより供給され、当時はMS-DOSおよびPC DOSの後継とされた、16ビットおよび32ビットのパソコン向けOSである。
以下の特徴がある。
- バージョン1は16ビット(CPUは80286以上)、バージョン2以降は32ビット(CPUは80386以上。一時はPowerPC用も開発された)である
- ファイルシステムとして、DOSのFATに加えて、途中からHPFSが追加された
- MS-DOSコマンド類似のOS/2コマンドを持つ。
- 最初からプリエンプティブ・マルチタスクを実現していた
- GUI環境
- バージョン1は、プレゼンテーションマネージャ
- バージョン2以降は、ワークプレース・シェル
- DOS互換環境
- バージョン1は1つのみ。80286で使用するための制約を受けてCPUのリアルモードとプロテクトモードを強引に切り替えることと[1]コンベンショナルメモリを圧迫した設計により、特に日本で不評を博した。
- バージョン2以降は、複数(マルチ仮想DOSマシン、MVDM)。仮想86モードを使用し、複数のDOS環境をプリエンプティブ・マルチタスク環境下で稼動させる。BIOSや一部のドライバの実処理コードを別アドレス空間、MVDM上にそれらの呼び出しコードを配置したことでDOSアプリケーションが使用できるコンベンショナルメモリを広く確保できたため、WindowsのDOSコマンドプロンプトや、更にはDOS自体と比較しても、アプリケーションの動作を安定させることのできる場合があることで注目された。
- Windows互換環境 (WIN-OS/2)。エミュレートではなく、マイクロソフトのライセンスを含むWindows本体のモジュールをOS/2のMVDM上で稼動させ、複数のWIN-OS/2同士を稼動することもできたため、互換性や、複数アプリケーションを稼動させた際の安定性は優れていた。
- バージョン2は、Windows 3.0相当のコード(386エンハンスドモードを除く)
- バージョン2.1以降は、Windows 3.1相当のコード(386エンハンスドモードも含む)
日本では日本電気、東芝、富士通、AX各社などにより採用され、DOS/Vに続きOADGの標準化にも採用された。
バージョン
OS/2の主なバージョンは以下の通り。リリース年月はIBM OS/2英語版[2] [3]。
バージョン | リリース | IBM | マイクロソフト | 主な機能 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1.0 | 1987/12 | OS/2 1.0 基本版/拡張版 | OS/2 1.0 | 16ビットマルチタスク、DOS互換ボックス | 拡張版はIBM版のみ |
1.1 | 1988/11 | OS/2 1.1 | OS/2 1.1 | プレゼンテーション・マネージャ | |
1.2 | 1989/10 | OS/2 1.2 | OS/2 1.2 | HPFS、デュアルブート | |
1.3 | 1990/12 | OS/2 1.3 | OS/2 1.3 | ATMフォント | IBM主導で開発、軽量化 |
2.0 | 1992/04 | OS/2 2.0 | OS/2 2.0 | 32ビットマルチタスク、ワークプレース・シェル、複数DOS環境(MVDM)、WIN-OS/2(Windows 3.0環境) | |
2.1 | 1993/05 | OS/2 2.1 | OS/2 2.1 | マルチメディア(MMPM/2)、WIN-OS/2(Windows 3.1環境) | |
1993/11 | OS/2 2.1 for Windows | - | (WIN-OS/2なし) | ||
2.11 | 1994/02 | OS/2 2.11 | OS/2 2.11 | マイクロソフト最終版 | |
3.0 | 1994/10 | OS/2 Warp 3.0 | (WIN-OS/2なし) インターネット接続(BonusPak)・IBM Works同梱 | 軽量化 | |
1995/02 | OS/2 Warp 3.0 with WIN-OS/2 | - | WIN-OS/2(Windows 3.11環境) | ||
1995/05 | OS/2 Warp Connect 3.0 with WIN-OS/2 | - | ネットワーク標準(WIN-OS/2あり) | ||
1995/07 | OS/2 Warp Connect 3.0 | - | ネットワーク標準(WIN-OS/2なし) | ||
4.0 | 1996/09 | OS/2 Warp 4 | - | Java1.0、OpenGL、OpenDoc、VoiceType | |
4.5 | 1999/04 | OS/2 Warp Server for e-Business | - | 最終レベルは4.52 (2002/04) |
日本語版の主なバージョンは以下の通り。
- IBM版
- マイクロソフト版
- ^ 栗原潔 (2007年1月10日). “さらばOS/2について”. 栗原潔のテクノロジー時評Ver2. ITmedia. 2014年9月15日閲覧。
- ^ “OS/2 Timeline”. OS/2 Museum. 2016年12月19日閲覧。
- ^ “PC Magazine (archives scanned by Google)” (PDF). PC Magazine 2016年12月19日閲覧。.
- ^ a b c d 『日経パソコン』 1991年10月28日号、pp.173-179。
- ^ 「OS/2がやってきた」『ASCII』 1988年9月号、p.184。
- ^ “世界のOSたち - DOSの次世代を築けなかった「OS/2」 (2) IBMとMicrosoftの確執” (日本語). マイナビニュース 2018年10月21日閲覧。
- ^ “米IBM、「OS/2 Warp 4」を発表”. pc.watch.impress.co.jp. 2022年3月10日閲覧。 “'96/9/25(現地時間) 発表 米IBMは25日(現地時間)、開発コードMerlinと呼ばれていたパソコン用のオペレーティングシステム「OS/2 Warp 4」のリリースを発表した。”
- ^ “日本IBM、ネットワーク対応を強化したOS/2 Warp4日本語版を発売”. pc.watch.impress.co.jp. 2022年3月10日閲覧。 “ 日本アイ・ビー・エム株式会社は、ネットワーク対応を強化した32ビットOS「OS/2 Warp4日本語版」を12月12日に発売する。”
- ^ OS/2 Warp4 および OS/2 Warp Server for e-business のプログラム・サポート終了の発表 - 日本IBM
- ^ 日本IBM、OS/2のすべての活動を終了 - PC Watch
- ^ a b “「OS/2」を2017年によみがえらせた「ArcaOS 5.0 Blue Lion」”. ZDNet Japan (2017年6月15日). 2020年4月8日閲覧。
- ^ Blue Lion
- ^ Rosenthal, Lewis (2022年2月25日). “ArcaOS Desktop updated to 1.0.15” (英語). Arca Noae. 2022年3月10日閲覧。
- ^ COMPANY NEWS; Compaq's OS/2 (1988/2/17) - The New York Times
- ^ OEM MS OS/2: 1987-1990 - OS/2 Museum
固有名詞の分類
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