Computer Typesetting System Computer Typesetting Systemの概要

Computer Typesetting System

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/01 03:54 UTC 版)

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電算写植

日本では電算写植(電算植字)システムとして1970年代に実用化された[3]。写植は、を溶かして作った活字を使うホットタイプに対する意味として、コールドタイプと呼ばれることから、電算写植は「Cold Type System」の略としてCTSともいわれる[4]。この意味の「CTS」という言葉は、特に新聞社や印刷会社などで素材の集配信から組版、出力まで使用する比較的大規模な組版システムのことを指す場合が多い。例えば、朝日新聞社が1970年代初めに運用開始した電算写植システムNELSONは、漢字キーボードによる原稿パンチとスキャナによる写真・カット入力装置、ディスプレイと漢字プリンタを組み合わせた校閲・前組・大組などの編集装置、記事・写真・カットなど組み合わせた完全な新聞紙面をネガフィルムに出力する全ページ写植機などから構成された[1]

初期の電算写植システムは、入力・編集・出力をそれぞれ専用の機器を使って行うバッチ方式であった。こうしたバッチ方式ではまとまったページ数を一括して処理するとともに工程ごとに作業担当者を置くのでシステムが大掛かりなものであった。コンピュータの処理能力の向上に伴いCTSも対話方式/WYSIWYG方式に移行した。対話方式/WYSIWYG方式は小規模のシステムになるので印刷業界に広く受けいれられた[5]

DTP

米国では1985年にAppleMacintoshとともにDTPが普及しはじめ、日本でも1986年から1987年にかけてDTP元年と騒がれた。DTPはレイアウト編集をWYSIWYGで行い、ページ記述言語(PDL)でレイアウト結果を出力する。PostScriptがPDLのデファクト・スタンダードとなった。当初はPostScriptに対応する日本語Type 1フォントが少ないことなどで、プロユースとしてはなかなか使えなかった[6]

DTPで出力するデータはPostScriptのプログラムであり、商業印刷ではこれをイメージセッターで版下とする。企業内印刷ではレーザープリンタが使われた。1990年代初めにはPostScriptに対応する日本語フォントが充実し、ラスターイメージプロセサ(RIP)が改良されるなど、DTPの実用的環境が整った[7]

電算写植システムは、1990年代にはDTPによって代替された[8]

現在のタイポグラファー(現代の植字工)の手元のコンピュータには、次のものが含まれる:テキストエディタ、組版ソフトウエア(composition software)、デジタルフォントのライブラリー、フォント管理ツールとフォントエディタ[9]

バッチ組版の流れ

組版システムにはバッチ方式と対話方式がある。初期の組版システムはすべてバッチ方式であった。バッチ方式では文章データ中に組版体裁を制御する指令を混在させるのが一般的である[10]。各社の独自開発したもののほか、1970年代後半にはTeXのように誰でもオープンに使えるものが誕生した。

印刷の対象となるテキストや画像に対して、指示マークを付けることをマークアップという[11]

マークアップ標準化の流れとしてSGMLが作られ、その後継として1998年にXMLが登場した。SGMLのレイアウト指定の標準としてDSSSL、XMLのレイアウト指定の標準としてXSL-FOがある。現在のバッチ処理はデータベースに保管したマークアップ文書をサーバ上で自動組版する仕組みが主流である。その典型的な例としてDarwin Information Typing Architecture(DITA)のPDF作成が挙げられる。


  1. ^ a b 大泊勝 1978, p. 1082.
  2. ^ Donald E. Knuth and Michael F. Plass 1981, p. 1172.
  3. ^ 中西秀彦 2011, p. 25.
  4. ^ 活字組版のCTS化-印刷100年の変革”. 日本印刷技術協会. 2017年10月5日閲覧。
  5. ^ 島袋徹 1992, p. 440.
  6. ^ 浜谷卓美 1993, p. 1072.
  7. ^ 浜谷卓美 1993, p. 1075.
  8. ^ 中西秀彦 2011, p. 26.
  9. ^ Robert Bringhurst 2016, p. 197.
  10. ^ 島袋徹・高司誠喜 1992, p. 522.
  11. ^ マークアップとは”. 日本電子出版協会. 2019年1月15日閲覧。
  12. ^ Donald E. Knuth and Michael F. Plass 1981, p. 1135.
  13. ^ 小野澤賢三 1995.


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