45型駆逐艦
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装備
C4ISR
中核的なセンサーとなるのがSAMPSON多機能レーダーである。これはSバンドのアクティブ・フェーズド・アレイ(AESA)レーダーで、最大探知距離250 km、500~1,000の目標を同時に追尾でき、12の目標と同時に交戦可能であるほか、特に敵の電子攻撃に対する耐性が優れていることが特長である。イギリス海軍では1045型レーダーとして制式化されている[1][2]。
またこれを補完してS1850Mも搭載される。これはLバンドの広域捜索3次元レーダーで、PAAMSのサブシステムであるSAMPSON多機能レーダーが近距離での目標精密追尾・ミサイル射撃指揮に専念できるよう、遠距離での早期警戒を担当する。イギリス海軍では1046型レーダーとして制式化されている[1][2]。
ソナーとしては、MFS-7000をバウ・ドームに収容して搭載する。これはEDO社の997型ソナーであり、イギリス海軍では2091型ソナーとして制式化されている[1]。
戦術情報処理装置としては、23型フリゲートでDNAとして装備化されたSSCS(Surface Ship Command System)をもとに発展させたCMS-1を搭載した。戦術データ・リンクとしては、リンク 11およびリンク 16、リンク 22、またSTDLにも対応している[1][2]。
武器システム
上記の経緯より、本艦の中核的な武器システムとなったのがシーバイパー(GWS.45)艦対空ミサイル・システムである。これはPAAMSのイギリス仕様(PAAMS(S))として開発された統合武器システムであり、優れた即応性、同時交戦能力と耐妨害性を備えている。艦首甲板に48セルのシルヴァーA50 VLSが搭載され、アスター艦対空ミサイル(SAM)を収容する[1][2]。また2021年には、シーセプター(CAMM(M))用のVLS(24セル)を追加装備し、既存のシルヴァーVLSはアスター30専用とすることが決定された[16][注 2]。
艦砲としては、ホライズン計画で予定されていたアメリカ製の54口径127mm単装砲は棄却され、退役する前任者である42型駆逐艦の装備品を流用して砲盾のステルス化を図った55口径114mm単装砲(4.5インチ砲Mk.8 mod.1)を艦首甲板前方に搭載した。砲射撃指揮装置としては、電子光学式のGSA.9(ラダメック2000)が用いられている。また近接目標への備えとしてDS30B 75口径30mm単装機銃も搭載している[1][2]。なお、ファランクス 20mmCIWSやハープーン艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基、短魚雷発射管の後日装備余地が確保されており、後に全艦がファランクスを搭載したほか、一部の艦ではハープーンも装備している[1][2]。
艦載機としては、小型のリンクスHMA.8中距離魚雷投射ヘリコプターや大型のマーリンHM.1哨戒ヘリコプターが想定されている。また航空艤装そのものは、更に大型のチヌーク輸送ヘリコプターにも対応可能である[1]。
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シルヴァーA50 VLS
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55口径114mm単装砲
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ファランクス 20mmCIWS
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac Wertheim 2013, pp. 797–798.
- ^ a b c d e f g h Saunders 2009, p. 877.
- ^ a b c d e 海人社 2003.
- ^ グローバルセキュリティー (2013年1月25日). “NATO Frigate Replacement for the 1990s [NFR-90]” (英語). 2016年7月17日閲覧。
- ^ 吉原 1996.
- ^ a b c 吉原 2003.
- ^ 東郷 2015.
- ^ Jonathan Beale (2016年1月29日). “Type 45 destroyers: UK's £1bn warships face engine refit”. BBC News (BBC)
- ^ Royal Navy gets sinking feeling over wonky warships
- ^ 新型駆逐艦の停電、海水温の高さが原因か 英
- ^ a b 「海外艦艇ニュース 英駆逐艦ドーントレスが機関換装を完了」 『世界の艦船』第985集(2022年12月号) 海人社 P.165
- ^ George Allison (2017年3月20日). “Minister confirms Type 45 engine refit contract to be awarded in 2018”. UK Defence Journal
- ^ “UK MoD awards £160m Type 45 destroyer propulsion repair contract”. NavalToday.com. (2018年3月22日)
- ^ 「海外艦艇ニュース 英45型駆逐艦が発電機の換装を開始」 『世界の艦船』第929集(2020年8月特大号) 海人社 P.181
- ^ Laura Hughes (2017年2月5日). “British warships 'so noisy' Russian submarines can hear them 100 miles away, investigation finds”. The Daily Telegraph
- ^ George Allison (2021年7月6日). “Type 45 Destroyers to receive £500m ‘firepower upgrade’”. UK Defence Journal
- ^ George Allison (2016年12月14日). “Talk of fitting new Vertical Launch System to Type 45 Destroyers reportedly ‘intensifies’”. UK Defence Journal
- ^ a b c d e f g h i j k l m n Wertheim 2013, pp. 201–202.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n Wertheim 2013, pp. 329–330.
- ^ “ロシア、英軍艦に警告射撃 黒海で緊張高まる”. 日本経済新聞 (2021年6月24日). 2021年7月31日閲覧。
- ^ MOD/CROWN COPYRIGHT:写真「空母クイーン・エリザベスとその打撃群がイギリスに帰還」『航空ファン』通巻831号(2022年3月号)文林堂 P.31
- ^ “英駆逐艦、紅海で攻撃用とみられるドローン撃墜 海運大手は当該海域の航行見合わせ”. BBC. (2023年12月17日) 2023年12月24日閲覧。
- ^ “湾岸戦争以来!? イギリス海軍が「32年ぶりに敵機を撃墜」 久々の実績…使用した武器とは”. 乗りものニュース. (2023年12月21日) 2023年12月24日閲覧。
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