45型駆逐艦 装備

45型駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/19 01:03 UTC 版)

装備

C4ISR

SAMPSON多機能レーダー

中核的なセンサーとなるのがSAMPSON多機能レーダーである。これはSバンドアクティブ・フェーズド・アレイ(AESA)レーダーで、最大探知距離250 km、500~1,000の目標を同時に追尾でき、12の目標と同時に交戦可能であるほか、特に敵の電子攻撃に対する耐性が優れていることが特長である。イギリス海軍では1045型レーダーとして制式化されている[1][2]

またこれを補完してS1850Mも搭載される。これはLバンドの広域捜索3次元レーダーで、PAAMSのサブシステムであるSAMPSON多機能レーダーが近距離での目標精密追尾・ミサイル射撃指揮に専念できるよう、遠距離での早期警戒を担当する。イギリス海軍では1046型レーダーとして制式化されている[1][2]

ソナーとしては、MFS-7000をバウ・ドームに収容して搭載する。これはEDO社の997型ソナーであり、イギリス海軍では2091型ソナーとして制式化されている[1]

戦術情報処理装置としては、23型フリゲートでDNAとして装備化されたSSCS(Surface Ship Command System)をもとに発展させたCMS-1を搭載した。戦術データ・リンクとしては、リンク 11およびリンク 16リンク 22、またSTDLにも対応している[1][2]

武器システム

上記の経緯より、本艦の中核的な武器システムとなったのがシーバイパー(GWS.45)艦対空ミサイル・システムである。これはPAAMSのイギリス仕様(PAAMS(S))として開発された統合武器システムであり、優れた即応性、同時交戦能力と耐妨害性を備えている。艦首甲板に48セルのシルヴァーA50 VLSが搭載され、アスター艦対空ミサイル(SAM)を収容する[1][2]。また2021年には、シーセプター(CAMM(M))用のVLS(24セル)を追加装備し、既存のシルヴァーVLSはアスター30専用とすることが決定された[16][注 2]

艦砲としては、ホライズン計画で予定されていたアメリカ製の54口径127mm単装砲は棄却され、退役する前任者である42型駆逐艦の装備品を流用して砲盾のステルス化を図った55口径114mm単装砲(4.5インチ砲Mk.8 mod.1)を艦首甲板前方に搭載した。砲射撃指揮装置としては、電子光学式のGSA.9(ラダメック2000)が用いられている。また近接目標への備えとしてDS30B 75口径30mm単装機銃も搭載している[1][2]。なお、ファランクス 20mmCIWSハープーン艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基、短魚雷発射管の後日装備余地が確保されており、後に全艦がファランクスを搭載したほか、一部の艦ではハープーンも装備している[1][2]

艦載機としては、小型のリンクスHMA.8中距離魚雷投射ヘリコプターや大型のマーリンHM.1哨戒ヘリコプターが想定されている。また航空艤装そのものは、更に大型のチヌーク輸送ヘリコプターにも対応可能である[1]


注釈

  1. ^ 2022年から断続的に配備され、2024年から置き換えられる予定。
  2. ^ なお本システムにミサイル防衛能力を付与する研究も進められているほか[1][2]、検討段階では、Mk.41 VLSを装備してSM-3SM-6の運用を行うことや[17]、後期建造艦では艦砲をAGS 155mm砲に換装するとともに、トマホーク巡航ミサイルとして、更にMk.41 VLS(8セル)を追加する計画もあった[1]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac Wertheim 2013, pp. 797–798.
  2. ^ a b c d e f g h Saunders 2009, p. 877.
  3. ^ a b c d e 海人社 2003.
  4. ^ グローバルセキュリティー (2013年1月25日). “NATO Frigate Replacement for the 1990s [NFR-90]” (英語). 2016年7月17日閲覧。
  5. ^ 吉原 1996.
  6. ^ a b c 吉原 2003.
  7. ^ 東郷 2015.
  8. ^ Jonathan Beale (2016年1月29日). “Type 45 destroyers: UK's £1bn warships face engine refit”. BBC News (BBC). http://www.bbc.com/news/uk-35432341 
  9. ^ Royal Navy gets sinking feeling over wonky warships
  10. ^ 新型駆逐艦の停電、海水温の高さが原因か 英
  11. ^ a b 「海外艦艇ニュース 英駆逐艦ドーントレスが機関換装を完了」 『世界の艦船』第985集(2022年12月号) 海人社 P.165
  12. ^ George Allison (2017年3月20日). “Minister confirms Type 45 engine refit contract to be awarded in 2018”. UK Defence Journal. https://ukdefencejournal.org.uk/minister-confirms-type-45-engine-refit-contract-awarded-2018/ 
  13. ^ “UK MoD awards £160m Type 45 destroyer propulsion repair contract”. NavalToday.com. (2018年3月22日). https://www.navaltoday.com/2018/03/22/uk-mod-awards-160m-type-45-destroyer-propulsion-repair-contract/ 
  14. ^ 「海外艦艇ニュース 英45型駆逐艦が発電機の換装を開始」 『世界の艦船』第929集(2020年8月特大号) 海人社 P.181
  15. ^ Laura Hughes (2017年2月5日). “British warships 'so noisy' Russian submarines can hear them 100 miles away, investigation finds”. The Daily Telegraph. http://www.telegraph.co.uk/news/2017/02/05/british-warships-noisy-russian-submarines-can-hear-100-miles/ 
  16. ^ George Allison (2021年7月6日). “Type 45 Destroyers to receive £500m ‘firepower upgrade’”. UK Defence Journal. https://ukdefencejournal.org.uk/type-45-destroyers-to-receive-500m-firepower-upgrade/ 
  17. ^ George Allison (2016年12月14日). “Talk of fitting new Vertical Launch System to Type 45 Destroyers reportedly ‘intensifies’”. UK Defence Journal. https://ukdefencejournal.org.uk/talk-fitting-new-vertical-launch-system-type-45-destroyers-intensifies/ 
  18. ^ a b c d e f g h i j k l m n Wertheim 2013, pp. 201–202.
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n Wertheim 2013, pp. 329–330.
  20. ^ ロシア、英軍艦に警告射撃 黒海で緊張高まる”. 日本経済新聞 (2021年6月24日). 2021年7月31日閲覧。
  21. ^ MOD/CROWN COPYRIGHT:写真「空母クイーン・エリザベスとその打撃群がイギリスに帰還」『航空ファン』通巻831号(2022年3月号)文林堂 P.31
  22. ^ “英駆逐艦、紅海で攻撃用とみられるドローン撃墜 海運大手は当該海域の航行見合わせ”. BBC. (2023年12月17日). https://www.bbc.com/japanese/67740600.amp 2023年12月24日閲覧。 
  23. ^ “湾岸戦争以来!? イギリス海軍が「32年ぶりに敵機を撃墜」 久々の実績…使用した武器とは”. 乗りものニュース. (2023年12月21日). https://trafficnews.jp/post/130032 2023年12月24日閲覧。 






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