食育 関連法令

食育

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/13 09:27 UTC 版)

関連法令

2005年(平成17年)6月10日食育基本法が成立した。食育によって国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことを目的としている[16]

食育基本法は、総理大臣と12省庁の大臣と国家公安委員長までが参加した国家レベルで食事をどうにかしようと捉えた、世界的に例のない法律とされる[17]

関連政策

関連した政策としては、厚生省による21世紀における国民健康づくり運動において、病気を予防するために目標を設定して目標達成を目指す運動を行っているが、甘味料の特に砂糖が虫歯(う蝕)を発生させるとして、甘味料に関する正確な知識の普及と甘味食品・飲料の間食の摂取回数の減少を目標としている[18]。また、10.7%いる児童・生徒の肥満児を7%以下にすることも目標とされている。

日本国外

アメリカ合衆国では、肥満人口の増加が健康上の問題となっている。アメリカでは、ジャンクフードの販売は子どもの健康や食の嗜好を守るために、自主規制する方向に向かっている。

アメリカ医学研究所IOM)は、子どもをターゲットとした高カロリーで栄養価に乏しい食品のコマーシャルが、肥満と関連しているとし、自主規制ないし政府の介入を求めた[19]シカゴ大学は、18歳未満をターゲットにしたコマーシャルの90%以上が栄養価に乏しい食品であり食の嗜好に影響を与えると報告した[20]。肥満対策のため、公立学校で糖分の多い飲料や脂肪を除去していない牛乳は販売されないように合意された[21]。マクドナルドやペプシコなど11の大きな業者が、12歳以下の子どもにはジャンクフードの広告をやめることで合意した[22]

2011年4月28日、食品医薬品局(FDA)、疾病対策センター(CDC)、アメリカ農務省(USDA)、連邦取引委員会(FTC)の4機関は、肥満増加の対策として子供に販売する飲食品の指針として、加工食品1食品あたりの上限を、飽和脂肪酸1グラム、トランス脂肪酸を0グラム、砂糖を13グラム、ナトリウムを210mgとした[23]

2011年5月18日、550超の団体がマクドナルドに対し、子供を対象とした飲食品に高カロリー、高脂肪、多い砂糖、高塩分のジャンクフードの販売中止、おまけをつけないことや、ロナルド・マクドナルドの引退を要請した[24]

イギリスでは、16歳以下に対するテレビ番組でジャンクフードをコマーシャルすることはできない[25]。2007年、イギリス政府は、合成保存料安息香酸ナトリウム合成着色料の入った食品が、子どもに注意欠陥・多動性障害(ADHD)を引き起こすという研究結果を受けて、ドリンクやお菓子にそれらが入ったものが多いとして注意を促し[26]、2008年4月、英国食品基準庁(FSA)は注意欠陥・多動性障害と関連の疑われる合成着色料6種類について2009年末までにメーカーが自主規制するよう勧告した[27]ガーディアン紙によれば、この政府勧告による自主規制の前に、大手メーカーは2008年中にもそれらの食品添加物を除去する[28]

2008年3月、これを受けて、欧州食品安全庁EFSA)は、イギリスでの研究結果は1日あたりの摂取許容量(ADI)の変更にのための基準にはできないと報告した[29]。しかし、4月イギリスは再び排除すべきだと勧告を行い[27]、8月には欧州は摂取量の見直しをはじめこれらの合成着色料を含む飲食品に「注意欠陥多動性障害に影響するかもしれない」という警告表示がされることになると報道された[28]

大韓民国では米を中心とした給食を提供し、菓子、ジュース、ファーストフードなどの栄養価に乏しいいわゆるジャンクフードに関して、2009年3月からは小中学校とその周辺での販売の規制、2010年からは午後5~9時のテレビコマーシャルの規制を行う[30]

ブルガリア政府は、全国の学校の食堂や売店からスナック菓子清涼飲料水を撤去した[31]

ビジネスとしての食育

関連法令の発令により、様々な企業や公共団体が食育をビジネスとして取り込んでいる。ビジネス方法としては、食育に関する商品の発売やセミナー、講演会の場を設けることにより収益を上げている。これら食育ビジネスに関し12省庁も非常に協力的であり、農林水産省は外食産業や中食産業、中小企業に対しての活動を推進するページをしている[32]。また、厚生労働省は従業員や職員、住民に対して、生活習慣病の啓発、健康増進のための優れた取り組みをしている自治体、団体、企業の表彰を行う「健康寿命をのばそう!アワード」を開催した[33]

健康ビジネスニュースを配信しているヘルスビズウォッチは、海外の食育ビジネスモデルに関して詳細に説明している[34]


  1. ^ 石塚左玄『化学的食養長寿論』 1896年(明治29年)、276頁。
    石塚左玄『通俗食物養生法』 1898年(明治31年)、178頁。
  2. ^ 村井弦斎、『食道楽』 全8冊、第3冊秋の巻、242-245頁、1903年(明治36年) - 1913年(大正2年)、東京、報知社。[1]
  3. ^ 丸島隆雄「村井多嘉子 『食道楽』の村井弦斎を支えた夫人」『平塚ゆかりの先人たち』第2集、平塚人物史研究会、2019年7月7日、26頁
  4. ^ 菟道春千代『食パン亡国論』 食養新聞社、1906年(明治39年)、広告欄。
  5. ^ 菟道春千代『食パン亡国論』 食養新聞社、1906年(明治39年)、68頁
    角地藤太郎『化学的食養の調和』 増訂3版、1911年(明治44年)、36頁。
  6. ^ 厚生省保健医療局健康増進栄養課 『食育時代の食を考える』 中央法規出版、1993年11月。ISBN 978-4-8058-1165-8
  7. ^ 服部幸應 『食育のすすめ』 マガジンハウス、 1998年3月。ISBN 978-4838709564
  8. ^ 服部幸應、三國清三 『味覚を磨く』 角川書店《角川oneテーマ21 》、2006年11月。84頁。ISBN 978-4047100626
  9. ^ マクロビオティック協会 議員 日本の政治の方向転換 - 久司財団会長 久司道夫氏 インタビュー (イーウーマン)
  10. ^ 「マクロビィオティック講演会」講演録(平成17年7月7日開催)(静岡県ホームページ)、「第2部 鼎談」の3頁。
  11. ^ 第156回国会 農林水産委員会 第18号 平成15年6月26日(木曜日)(国会会議録検索システム)
  12. ^ マクドナルドが食育サイトを開設 (日経BPネット)
  13. ^ 食育授業レポート ちゃんと食べる.jp:食育
  14. ^ [2][リンク切れ]
  15. ^ 「食育」が危ない (フーズアンドヘルス研究所)
  16. ^ 食育の推進にむけて(PDF)(内閣府)
  17. ^ 中村丁次、前川喜平 特集 対談 「なぜ今、食育か」 『ふたば』、母子健康協会 No.70、2006年。(財団法人 母子健康協会)
  18. ^ 健康日本21とは - 各論 - 歯の健康21世紀における国民健康づくり運動
  19. ^ Food Marketing to Children and Youth: Threat or Opportunity?(Institute of medicine)
  20. ^ 米国の子どもたちの肥満は、「健康に悪い食品のCM」にさらされているから?(AFPBB News、2007年09月08日 10:16)
  21. ^ Bottlers Agree to a School Ban on Sweet Drinks(The New York Times, 2006-5-4)
  22. ^ Limiting Ads of Junk Food to Children(New York Times, July 18, 2007)
  23. ^ Interagency Working Group Seeks Input on Proposed Voluntary Principles for Marketing Food to Children(FTC, April 28 2011)
  24. ^ Julie Jargon マクドナルドに「ジャンクフード販売」中止要請―ロナルドにも引退勧告(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2011年5月18日 )
  25. ^ Junk food ad crackdown announced(BBC NEWS, 17 November 2006)
  26. ^ Agency revises advice on certain artificial colours(英語)(Food Standards Agency)
  27. ^ a b Board discusses colours advice(Food Standards Agency, Friday 11 April 2008)
  28. ^ a b EU plans warning labels on artificial colours(The Guardian, August 11 2008)
  29. ^ Assessment of the results of the study by McCann et al. (2007) on the effect of some colours and sodium benzoate on children’s behaviour - Scientific Opinion of the Panel on Food Additives, Flavourings, Processing Aids and Food Contact Materials (AFC)(英語)(European Food Safety Authority, 14 March 2008)
  30. ^ 山田豊文『細胞から元気になる食事』新潮社 52頁 ISBN 978-4101372310
  31. ^ “東欧で肥満児急増 体操教室流行・ジャンクフード税導入”. 朝日新聞. (2010年3月16日). http://www.asahi.com/international/update/0316/TKY201003150469.html 2010年3月18日閲覧。 
  32. ^ 農林水産省:実践食育ナビ
  33. ^ 「健康寿命をのばそう!アワード」結果
  34. ^ ヘルスビズウォッチ:海外の食育に関する考察


「食育」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「食育」の関連用語

食育のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



食育のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの食育 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS