順位変更登記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/10 23:45 UTC 版)
順位変更の抹消登記
概要
順位変更の登記が錯誤(民法95条本文)によりされた場合や、登記原因たる合意が無効の場合、詐欺又は強迫(民法96条1項)・制限行為能力者の法律行為(民法5条2項など)により合意を取り消す場合、債務不履行などにより合意が法定解除された場合には、順位変更登記を抹消する登記の申請をすることができる。
これに対し、合意解除によって元の順位に戻すことはできない。この場合、新たに順位変更登記をすることになる(1971年(昭和46年)12月24日民甲3630号通達別紙乙号(4)参考事項)。
なお、順位変更に係る担保物権の登記がすべて抹消された場合、順位変更の登記は公示をする意味がない登記ではあるが、当該順位変更の登記を申請により抹消することはできないし、職権で抹消できる法令の規定も先例も存在しない。これは法の不備であるとされている。詳しくは登記インターネット52-134頁を参照。
登記申請情報(一部)
登記の目的(不動産登記令3条5号)は、順位変更登記の順位番号を示し、例えば「登記の目的 4番順位変更抹消」のように記載する(記録例442)。
登記原因及びその日付(不動産登記令3条6号)のうち、登記原因は「錯誤」・「合意無効」・「取消」・「解除」である。日付は順位変更の消滅の効力が発生した日である。
原因と日付を組み合わせて、「原因 平成何年何月何日解除」のように記載する。ただし、錯誤の場合には日付を記載する必要はない(記録例442)。
登記申請人(不動産登記令3条1号)については、順位変更登記と同じく合同申請で行う。順位変更に係る担保物権の登記名義人全員が登記申請人となる(昭和46年10月4日民甲3230号通達第1-5)。
添付情報(不動産登記規則34条1項6号、一部)は、登記原因証明情報(不動産登記法61条・不動産登記令7条1項5号ロ)、登記申請人全員の登記識別情報(不動産登記法22条本文・不動産登記令8条1項6号)又は登記済証を添付する。
この登記済証は担保物権設定時のものであって、順位変更時のものではない(1971年(昭和46年)10月4日民甲3230号通達第1-5)。なお、登記識別情報は順位変更登記においては通知されない(不動産登記法21条本文参照)。
また、利害関係人が存在するときはその承諾証明情報が添付情報となるが、根拠については「不動産登記令7条1項5号ハ」であるという説と「不動産登記法68条・不動産登記令別表26項添付情報ヘ」であるという説の争いがある。なお、承諾書に係る押印及び印鑑証明書に関する論点は順位変更の登記の場合と同じである。
登録免許税(不動産登記規則189条1項前段)は、不動産1個につき1,000円を納付するが、同一の申請情報で20個以上の不動産につき抹消登記を申請する場合は2万円である。(登録免許税法別表第1-1(15))。
登記の実行
抹消登記は主登記で実行される(不動産登記規則3条参照、記録例442)。また、登記官は登記を抹消する際には、抹消の登記をするとともに抹消の記号を記録しなければならず、更に、担保物権の順位番号の次に記録された、順位変更の登記に係る、かっこを付して記録された順位番号にも抹消の記号を記録しなければならない(不動産登記規則152条1項、記録例442)。
- 1 順位変更登記とは
- 2 順位変更登記の概要
- 3 順位変更の抹消登記
- 4 参考文献
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