静岡市立御幸町図書館 静岡市立御幸町図書館の概要

静岡市立御幸町図書館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/24 07:52 UTC 版)

静岡市立御幸町図書館
4階・5階に御幸町図書館が入居しているペガサート
施設情報
前身 静岡市立追手町図書館
事業主体 静岡市
建物設計 アール・アイ・エー
延床面積 2074.17 m2
開館 2004年9月17日
所在地 静岡県静岡市葵区御幸町3番地21 ペガサートビル「ビネスト」4階・5階部分
位置 北緯34度58分30.0秒 東経138度23分10.3秒 / 北緯34.975000度 東経138.386194度 / 34.975000; 138.386194座標: 北緯34度58分30.0秒 東経138度23分10.3秒 / 北緯34.975000度 東経138.386194度 / 34.975000; 138.386194
ISIL JP-1001819
条例 静岡市図書館条例
公式サイト http://www.toshokan.city.shizuoka.jp/
地図
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館
テンプレートを表示

市街地中心部の複合商業施設「ペガサート」内にある。2004年9月17日に開館した。静岡市庁舎内にあった静岡市立追手町図書館の後継館であり、12館ある静岡市立図書館のひとつである。蔵書数では12館中6位、貸出数では12館中4位だが、入館者数では12館中1位である(2014年度)。図書館の構想段階からビジネス支援サービスを取り入れた先進的な図書館である[1]

基礎情報

  • 所在地 : 静岡県静岡市葵区御幸町3番地21 ペガサート「ビネスト」4階・5階部分[2]
  • 延床面積 : 2,074.17m2[2]
    • 4階は1,030m2 : おはなしコーナー、こどものほんのコーナー、一般開架など
    • 5階は1,044m2 : 専門雑誌・新聞コーナー、一般開架コーナー、ボランティア活動室、電子図書館、閲覧・学習コーナー、閉架書庫など
  • アクセス : JR東海道本線静岡駅から徒歩5分、または静岡鉄道新静岡駅から徒歩1分[3]

歴史

追手町図書館

追手町図書館があった静岡市役所(画像は本館)

1969年(昭和34年)には静岡市初の公立図書館として、追手町に静岡市立図書館が開館した[4]静岡市立図書館の老朽化にともなって、1984年(昭和59年)には城北地区の大岩本町に静岡市立中央図書館が開館[4]。これによって中心市街地から図書館がなくなったため、1986年(昭和61年)には静岡市役所新庁舎3階のワンフロアに静岡市立追手町図書館が開館した[4]。その立地から行政資料コーナーの存在が特色であり、静岡市役所総務課市史編纂室が所管していた自治体市史類を引き継いでいる[4]

追手町図書館は中心市街地にあることから、中央図書館と間違えて来訪する利用者も少なくなかった[4]。平日は市役所の駐車場を無料で利用することができ、この駐車場は休日のみ有料となった[5]1998年度の追手町図書館の蔵書数109,312冊は、中央図書館の蔵書数515,326冊の約1/5であるが、追手町図書館の貸出数337,969冊は、中央図書館の貸出数684,489冊の約1/2に達している[6]

移転計画

隣接するビルにある静岡鉄道新静岡駅

1998年(平成10年)頃には静岡市立図書館の職員のプロジェクトチームが中央図書館を中心市街地に移転させる構想を打ち出した[7]2000年には中心市街地の御幸町と伝馬町に再開発ビルを建設することが決定したため、静岡市はこの再開発ビルの4フロアを購入して、2フロア分を図書館に、残りの2フロアを都市型産業支援施設に宛てることとした[8]。図書館2フロア分の延床面積は約2,000mであり、延床面積の狭さなどの問題から中央図書館を移転させるのは困難だったため、近隣の追手町図書館を複合ビルに移転させることとした[7]。このビルは静岡鉄道新静岡駅とバスターミナルがある新静岡センターと向かい合っており、静岡市でもっとも賑わいのあるエリアに位置する[7]。複合ビルの設計は静岡市内で葵タワーなども手掛けることになるアール・アイ・エー

2001年(平成13年)4月1日には基本構想等策定委員会が設置され[9]、栗田仁(建築家)、草谷桂子(児童文学者)、杉田至朗(静岡新聞論説委員)、竹内比呂也(図書館情報学者)、平野雅彦(情報プランナー)の5人が委員に就任[7]。静岡市が基本構想策定委員会を設けるのは、(中央館ではない)地域館としては異例のことである[8]2002年5月10日には「仮称静岡市立御幸町伝馬町地区図書館基本構想」が策定され、「ビジネス支援サービス」というコンセプトが明確にされた[7]

2003年(平成15年)4月1日には旧静岡市と清水市が合併して新静岡市となった。同月には静岡市職員の渡邉正人が追手町図書館の館長に就任。渡邉は自治体職員として庶務、相談員、施設管理、経理など様々な職種を経て、静岡市立南部図書館で2年間実務を経験した上で追手町図書館長に就任している[5]2004年4月1日には静岡中央図書館と清水中央図書館が統合され、静岡中央図書館が新静岡市の中央図書館となった[9]

御幸町図書館

図書館内のラック

2004年(平成16年)9月17日、追手町図書館の御幸町への移転という形をとって静岡市立御幸町図書館が開館した[9]。館長は公募を行うことも検討されたが、追手町図書館長の渡邉がそのまま御幸町図書館長に就任している[5]。追手町図書館の閉館時の蔵書数は約11万冊、開館した御幸町図書館の所蔵可能冊数は18万冊であるため、ゆったりとした書架での出発となった[5]

旧静岡市と旧清水市では図書館の開館時間が異なっていたが、2005年(平成17年)5月には静岡市の全館を旧清水市の開館時間に合わせ、午前9時30分開館となった[5]。2003年度の追手町図書館と2004年度の御幸町図書館の統計を比較すると、入館者数は1.6倍(1,918人/日)に、貸出点数は1.4倍(1,398点/日)に増加している[7]。2006年4月には第2代館長に豊田高広が就任。豊田は静岡市職員として社会教育分野に携わり、静岡市中央図書館を経て2004年9月の開館時に御幸町図書館に転任していた[10]

ビジネス支援サービスなどが評価され、2006年(平成18年)には文部科学省の「これからの図書館像」で9つの先進事例の一つとして紹介された[9]。その立地を生かしたビジネス支援サービスを計画的に展開している点が評価され[11]、2007年(平成19年)にはLibrary of the Yearの優秀賞と会場賞を受賞した[9]。同年の大賞には滋賀県愛荘町愛荘町立愛知川図書館が選ばれている。


  1. ^ 「図書館でビジネス支援 静岡市、先駆的取り組み」朝日新聞, 2004年11月7日
  2. ^ a b 静岡市立中央図書館 2015, p. 16.
  3. ^ 静岡市立中央図書館 2015, p. 29.
  4. ^ a b c d e 30年のあゆみ, pp. 30–31.
  5. ^ a b c d e f g h 静岡市の図書館をよくする会 2006, pp. 12–13.
  6. ^ 30年のあゆみ, pp. 40–41.
  7. ^ a b c d e f g 静岡市の図書館をよくする会 2006, pp. 30–31.
  8. ^ a b 静岡市の図書館をよくする会 2006, pp. 10–11.
  9. ^ a b c d e 静岡市立中央図書館 2015, pp. 2–5.
  10. ^ 「豊田高広さん 図書館優秀賞を受賞した館長」朝日新聞, 2008年2月2日
  11. ^ 『ライブラリー・リソース・ガイド』2015年秋号, p.66
  12. ^ a b 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 41.
  13. ^ a b c d 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 134.
  14. ^ a b 静岡市立御幸町図書館のビジネス支援サービス(静岡市立御幸町図書館) 文部科学省
  15. ^ 竹内, 豊田 & 平野 2007, pp. 171–172.
  16. ^ a b c d e 静岡市立中央図書館 2015, p. 8.
  17. ^ 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 135.
  18. ^ 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 57.
  19. ^ a b c d e 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 15.
  20. ^ 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 17.
  21. ^ 竹内, 豊田 & 平野 2007, pp. 155–156.
  22. ^ 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 27.
  23. ^ a b 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 26.
  24. ^ 竹内, 豊田 & 平野 2007, p. 30.


「静岡市立御幸町図書館」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「静岡市立御幸町図書館」の関連用語

静岡市立御幸町図書館のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



静岡市立御幸町図書館のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの静岡市立御幸町図書館 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS