阪神3301形・3501形電車 冷房改造以後

阪神3301形・3501形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/07 13:46 UTC 版)

冷房改造以後

阪神3501形冷房改造後(1986年 芦屋駅)

冷房改造後も各種機器の取付や換装が実施された。まず行先表示器の設置が3501形は1978年、3301形は1981年に実施されたほか、車外放送設備の取付や列車無線装置のVHF方式への換装も行われた。

3301形は冷房改造後も本線では主に増結用として使われ、準急や区間急行の運用に残っていた5両などの奇数両編成の運用では重宝された。単行時代の武庫川線では3301形の1両が武庫川線で、3両が7801形などと併結して運用されていたが[1]1984年4月の武庫川団地前駅延伸の際に単行運転から2両編成とされたため、3301形は本線に戻った[1]。また、3501形は本線急行・特急や西大阪線(現・阪神なんば線)運用に就き、末期には電気ブレーキ装備ということで3801・3901形の増結用[注 4]としても重宝されていた。

登場から30年近くたった1980年代半ばになると、老朽化と直角カルダン駆動の保守に手がかかる本形式は置き換えの対象となった。廃車はまず武庫川線の2連化で本線の増結運用に専用されるようになった3301形が、5連運用の減少に伴い1986年に4両とも廃車となった。8000系の増備に伴い、3501形も1986年から廃車が開始され、1989年3月に全廃となった[5]

譲渡

えちぜん鉄道MC2201形

3301形は廃車後、4両全てが京福電気鉄道福井支社に移籍して、同社のモハ2201形 (2201 - 2204) となった[6]。赤胴車では唯一の他事業者への譲渡事例でもある(2014年現在)。

譲渡にあたり武庫川車両工業で改造工事を実施し、台車・主電動機は国鉄101系電車の廃車発生品(DT21形台車・MT46形主電動機)に取り替え[6]電制を撤去し、電動発電機を取り付けたことで単行運転時にも冷房が使用可能となった[6]。同社としては初の冷房車であった[6]

2001年越前本線の衝突事故で2201が廃車となった。えちぜん鉄道移管後は同社のMC2201形となったものの(番号は変更せず)、2005年5月に2202と2203が主制御器の老朽化のため廃車・解体された。残った2204はその後も9年間にわたって運行されていたが、2014年10月26日限りで実に56年にも及ぶ現役生活を終えて引退、廃車された[7]

新旧番号対照
阪神車番 京福車番
3302 モハ2201
3303 2202
3301 2203
3304 2204

脚注


注釈

  1. ^ 阪神本線伝法線(後の西大阪線。現・阪神なんば線)武庫川線等の阪神社内における呼称。
  2. ^ 1958年当時は臨時急行。区間急行への改称は1959年。
  3. ^ 国道線甲子園線北大阪線の阪神電鉄社内における呼称。
  4. ^ 3301・3501形の廃車後に、3801・3901形は8701・8801・8901形および7890・7990形に形式変更された。

出典

  1. ^ a b c d 飯島・小林・井上『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』100頁。
  2. ^ 塩田・諸河『日本の私鉄5 阪神』110頁。
  3. ^ a b c 塩田・諸河『日本の私鉄5 阪神』111頁。
  4. ^ a b 飯島・小林・井上『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』48頁。
  5. ^ a b 塩田・諸河『日本の私鉄5 阪神』112頁。
  6. ^ a b c d 鉄道ジャーナル』第21巻第1号、鉄道ジャーナル社、1987年1月、50頁。 
  7. ^ 2204の最終運行日 - えちぜん鉄道、2014年10月2日。


「阪神3301形・3501形電車」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「阪神3301形・3501形電車」の関連用語

阪神3301形・3501形電車のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



阪神3301形・3501形電車のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの阪神3301形・3501形電車 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS