過剰予約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 02:07 UTC 版)
交通機関における過剰予約
航空・鉄道・船舶業界では、航空機や列車、船舶に実際に乗せることが出来る数を超えて、乗客の予約を受け付けている。これにより、たとえ乗客が乗り遅れたり、実際にやってこないことを見越して、多くの便を満席に近い状態で運行することで、より多くの収益を上げ、航空券の運賃を下げる事ができる。
旅客機のビジネス客は、会議が予定より延びたというような理由で、しばしば直前になって予約をキャンセルする「ノーショウ(no-show)」となることがある。しかし、予約した乗客が全員やってきた「ゴーショウ(go-show)」の場合、航空機では過剰販売となる。
航空会社は、座席を譲ってくれる人を募るか、特定の乗客の搭乗手続きを断って、振替便の手配[注 1]、またはビジネスクラスへのインボランタリー・アップグレードを提供する。ボーナスマイレージの付与や金銭補償を行うこともある。搭乗を断る客にこのような特典を提供したとしても、常態的に旅客機の座席数よりも若干多めに予約をコントロールすれば、過剰予約をせずに多くの便を空席がある状態で運航するよりも航空会社の収入を増やすことができる。
航空会社によっては、既に満席になっている飛行機に割り込んで搭乗させる特権をマイレージサービスで特定の顧客に与えている場合があり、その場合他の乗客が搭乗できなくなる。エコノミークラスでのみ過剰予約を受け付けて、より上級のビジネスクラスでは、受け付けないこともある。これにより、使われなかった上級クラスの席に、一部の乗客をインボラすることが可能になる。
日本国内線では、各社とも「フレックストラベラー制度」として、過剰予約時の乗客に対する取り扱いを約款で定めている[1][2][3][4][5][6]。
ジェットブルー航空、イージージェット、ライアンエアーなどいくつかの航空会社では、会社方針として過剰予約を受け付けず、顧客の失望を避ける方針を取っている。これらの航空会社では、乗り遅れた場合に払い戻しや便の変更が一切できない格安航空券を販売しており、そのため乗客は、確実に現れるという点もある。
欧州連合では、ヨーロッパ委員会規制261/2004(European Commission Regulation 261/2004)により、過剰予約で搭乗できなかった乗客への補償の必要について定めている。
インドの格安航空会社、エア・デカン(Air Deccan)は恒常的に過剰予約をしており、たとえ時刻に間に合っていても、前から来た順に乗せて満席になった以降の乗客は乗り遅れたとみなして、搭乗を拒否していると言われている[7]。
注釈
出典
- ^ “フレックストラベラー制度のご案内”. 全日本空輸. 2016年12月24日閲覧。
- ^ “JAL国内線 - フレックストラベラー制度”. 日本航空. 2016年12月24日閲覧。
- ^ “フレックストラベラー制度”. スカイマーク. 2016年12月24日閲覧。
- ^ “航空会社スターフライヤー(SFJ)公式サイト/フレックストラベラー制度”. スターフライヤー. 2016年12月24日閲覧。
- ^ “フレックストラベラー制度について”. ソラシドエア. 2016年12月24日閲覧。
- ^ “フレックストラベラー制度について/搭乗手続き/AIR DO”. AIRDO. 2016年12月24日閲覧。
- ^ Air Deccan taking people for ride
- ^ SCOTT MCCARTNEY (2015年7月12日). “知らぬ間にキャンセルされるホテル予約”. ウォール・ストリート・ジャーナル 2015年11月3日閲覧。
- ^ “丘みどりさんのショー、急きょ中止 名古屋の老舗ホテルで二重予約”. 朝日新聞 (2022年10月2日). 2022年10月3日閲覧。
- ^ “丘みどりさんショー中止に 名古屋のホテル、二重予約”. 共同通信 (2022年10月3日). 2022年10月3日閲覧。
- 1 過剰予約とは
- 2 過剰予約の概要
- 3 交通機関における過剰予約
- 4 宿泊施設における過剰予約
- 5 脚注
- 過剰予約のページへのリンク