連続写像 性質

連続写像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/06 04:59 UTC 版)

性質

二つの写像 f: XY, g: YZ が連続ならば、それらの合成 gf: XZ もそうである。また f: XY が連続のとき、

である。

一つ固定した空間 X 上に入れることのできる位相の全体には半順序を入れることができて、位相 τ1 が別の位相 τ2 よりも粗い英語版 (τ1 ⊆ τ2) とは、τ1 に関する任意の開集合が、必ず τ2 に関する開集合ともなるときに言うのであった。さてこのとき、恒等写像

idX: (X, τ2) → (X, τ1)

が連続となる必要十分条件は τ1 ⊆ τ2 が成り立つことである。より一般に、連続写像

に対し、位相 τY をより粗い位相に取り換えても、また τX をより細かい位相に取り換えても、連続性は保たれる。

  • 定義域 X離散位相を入れるとき、任意の写像 f: XY は任意の位相空間 Y を終域として連続である[17]
  • 終域 Y密着位相を入れるとき、任意の写像 f: XY は任意の位相空間 X を定義域として連続である[18]
  • 定義域が密着空間で終域が T0-空間ならば、定値写像のみが連続になる。
  • 連続性は局所的な性質英語版である。

注釈

  1. ^ 実関数では単一の区間
  2. ^ ユークリッド空間上の関数では有界閉集合
  3. ^ 杉浦[2]も同じ等式で定義しているが、より一般にユークリッド空間について述べていることと、極限の定義が一般的な定義と僅かに異なる(同値ではない)ことに注意を要する。この記事での意味の等式に最も近い表現は命題6.5の d) である。
  4. ^ 一般に関数の極限を扱う際には xa であること、あるいは同じことだが、絶対値の条件が 0 < |xa| < δ と正値をとること[4]が要求される。これは必ずしも f(a) が極限値 A と等しいとは限らず、そのような場合に |f(a) − A| < ε が成り立たない ε が存在して極限の議論の妨げになるためであった。しかし、連続関数は A = f(a) となるべきものであり、どのような正の実数 ε についても |f(a) − f(a)| = 0 < ε が自明に成り立つので、x = a を含めても条件が厳しくなることはない。そのため、f(x) の連続性は、「任意の正の実数 ε について適切な正の実数 δ をとることで、f の定義域に含まれて |xa| < δ を満たす全ての x について |f(x) − f(a)| < ε が成り立つ」ことだとも言える[5]
  5. ^
  6. ^ ここで、aδ-近傍は (X, dX) におけるもの、f(a)ε-近傍は (Y, dY) におけるものであることには注意が必要である。
  7. ^ 開集合全てでなく準開基に限ったとしても同値である。
  8. ^ 全近傍系の代わりに基本近傍系や開近傍系に限ったとしても同値である。例えば、距離空間においては各点のε-近傍の全体が基本近傍系となるので、ε-δ論法による定義は基本近傍系によるものだということもできる。
  9. ^ A = f−1(B) として f(clX(f−1(B))) = f(clX(A)) ⊂ clY(f(A)) = clY(f(f−1(B))) ⊂ clY(B) であることから両辺の逆像をとることで導かれる。逆の成立は B = f(A) として clX(A) ⊂ clX(f−1(f(A))) = clX(f−1(B)) f−1(clY(B)) = f−1(clY(f(A))) であることから両辺の像をとることで確かめられる。
  10. ^ f−1(intY(B)) = f−1(intY(B)) = f−1(clY(B)) ⊂ clX(f−1(B)) = intX(f−1(B)) = intX(f−1(B)) と導出される。逆の成立は clX(f−1(B)) = clX(f−1(B)) = intX(f−1(B)) f−1(intY(B)) = f−1(clY(B)) = f−1(clY(B)) と確認できる。
  11. ^ これは逆も真であり、ハウスドルフ空間の特徴づけになっている。
  12. ^ 特に Y がハウスドルフ空間であるときは、xa に限りなく近づけるときの f の極限が f(a) であることだと言える。
  13. ^ 逆写像を持たない、つまり全単射でない写像においては、開写像と閉写像は一致するとは限らない。例えば、実数を終域とする定値写像は閉写像だが開写像ではない。ちなみに定値写像は、終域のいかなる部分集合も逆像は定義域全体か空集合のどちらかであり、どちらも開かつ閉集合であるから、必ず連続写像である。
  14. ^ 全単射である連続写像に対して、その逆写像は必ずしも連続でない。例えば、ある2点集合を共通の台集合とする離散空間密着空間を考えると、台集合上の恒等写像は離散空間から密着空間への全単射連続写像となるが、逆は連続でない。ただし、定義域がコンパクト空間で終域がハウスドルフ空間ならば、連続全単射は閉写像でもあるので同相である[19]
  15. ^ 両者は互いに逆の関係である。
  16. ^ 当然、閉集合系や開核、閉包も保つ

出典

  1. ^ a b c 加藤 2019, p. 71.
  2. ^ 杉浦 1985, 第I章 §6.
  3. ^ 杉浦 1985, 第I章 §6 命題6.5 d).
  4. ^ 加藤 2019, p. 62.
  5. ^ 杉浦 1985, 第I章 §6 命題6.5 c).
  6. ^ 加藤 2019, pp. 72–74.
  7. ^ 杉浦 1985, pp. 57–59.
  8. ^ 松坂 1968, pp. 178–182.
  9. ^ a b 松坂 1968, p. 185.
  10. ^ 松坂 1968, p. 240.
  11. ^ 松坂 1968, pp. 240–241.
  12. ^ a b 松坂 1968, p. 178.
  13. ^ 松坂 1968, pp. 175–176.
  14. ^ a b 松坂 1968, p. 246.
  15. ^ 松坂 1968, p. 212.
  16. ^ 松坂 1968, p. 196.
  17. ^ 松坂 1968, pp. 176–177.
  18. ^ 松坂 1968, p. 177.
  19. ^ 松坂 1968, pp. 216.
  20. ^ 松坂 1968, pp. 182–185.





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