軍人将棋 ローカルルール

軍人将棋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 14:57 UTC 版)

ローカルルール

軍人将棋には数々のローカルルールがある。

  • 味方の大将(または元帥)が倒されたら(総司令部を占領されていなくても)その時点で負けとなる。
  • 地雷が勝った場合、撤去しない[注釈 6]
  • 軍旗も動くことができる。(更に、補足的に次のようなローカルルールも存在する。)
    • 開始前の初期配置時に置いた後ろの駒と(ゲーム終了まで)同じ威力となる[注釈 7]
  • 少尉で軍旗を倒した場合、その時点でゲームの勝ちとする[注釈 8]
  • 工兵は前後左右にすきまのある範囲に限り自由にどこへでも行ける[注釈 9]
  • 工兵・タンク・騎兵は前後左右1マスしか動けない(基本駒やスパイと同じ動きにする)[注釈 10]
  • 騎兵、タンクは横や後ろにも2マス動ける。
  • 騎兵、タンクは途中に駒がなければ、前後左右に自由に進める(工兵と同じ動きにする)。
  • タンクが工兵に勝つ[注釈 11]
  • 騎兵の強さを地雷の強さと同じとする。
  • 飛行機は工兵に負ける。
  • 飛行機は横に動けない。
  • 飛行機は横にも何マスでも動ける(途中の駒も飛び越せる)。
  • 飛行機は味方の駒がない場所なら任意のマスに移動できる[注釈 12]
  • 総司令部に関連するローカルルールは以下のものがある。その内いくつ含むかは地域によって異なる。
    • 総司令部に地雷や飛行機を置けない。
    • 飛行機以外の駒なら、いずれの駒でも総司令部を占領できる。
    • 開始前の初期配置時に総司令部に置いた駒は、地雷以外の(本来ならば動ける)駒でも二度と動かせない。(総司令部の外に出る事が出来ない。)
    • 総司令部の自軍駒が撤去された後でも、残りの駒の強弱に関わらず総司令部に入る事が出来ない。(自軍の駒で総司令部を内部から防衛できず、外の通常マスで防衛しなければならず、一般ルールに比べ総司令部を守るのが難しい。)
    • 総司令部には必ず将官を置かなければいけない。

千日手関連のローカルルール

軍人将棋では突入口付近で将官がにらみ合う場合などに、いわゆる千日手のような膠着状態になることがあるが、この場合の一般的なルールはなく様々なローカルルールがある。

一つの方法としては千日手の直前に攻撃を受けた(駒をぶつけられた)方が打開しなければならない、というものがある。このルールでは先述のような将官同士が対峙している場合などに千日手を意識した戦術がとられることがしばしばある。

また、駒が少くなった終盤の千日手の場合、すべての駒を表にして一番強い駒が残っている側を勝ちをする方法もある(例えば大佐と少佐が残っていた場合、大佐を持つ側を勝ちとする)。この場合タンクや飛行機などをどう扱うかなどは地域によって異なる。

一部の製品に存在する駒

軍人将棋には様々なバリエーションがあり、独自の駒を含むものも多い。有名な駒には次のようなものがある。

元帥
元帥には大きく分けて二通りのルールがあり、一つは大将に代わる最上位の駒とするものである。このルールでは他の駒と同様に一マスずつ動くことができ、元帥は地雷とスパイを除くすべての駒に勝ち、スパイは元帥のみに勝つ(大将には負ける)駒となる。
もう一つは総司令部を守るための駒とするものである。ゲームが始まると元帥は(表向きにして)総司令部に置かれ、ここから動くことはできないが隣接するマスに味方の駒がいるならあらゆる駒に勝ち、いない場合は将官と佐官に敗れる[注釈 13]。総司令部の元帥を倒した場合はゲームの勝ちとなる。
なお、古い製品では元帥を「元師」と表記しているものもあるがこれは誤りである(“帥”と“師”は別字)。
原爆
原爆 (水爆)は戦後に発売された一部の製品にある駒である。
この駒は自ら動くことができないが、隣にミサイルがあるとそれに連動して動かすことができる。ミサイルが敵陣に入ると、移動したマスとその上下左右斜めのマスの駒を倒し、ミサイルと原爆の駒は相打ちとなる。ただし、攻撃したマスの中に相手のミサイルがあると「空中衝突」とみなされ原爆と両者のミサイルだけが相打ちとなる。

他にも製品によっては代将MP砲兵ジェット機などの駒がある。


注釈

  1. ^ 軍人将棋においては戦車をタンクと呼ぶことも少なくない。
  2. ^ 木製の駒は、木目に沿って割れ目や欠け等が発生した場合、それが目印になって駒の種類をプレーヤーに記憶されてしまう状況が頻繁に起こった。また木目は駒によって異なるので、そのことも判断材料になることもあった。プラスティックならば、傷や割れ目、汚れがない限り、どの駒も一様にできるので、上記のような心配がなくなった。
  3. ^ 特に、始めから大将を使ったときは、どの駒を倒したかわからない。
  4. ^ 例えば極端な例として、互いにスパイと大将だけが生き残っていたとき、互いにスパイを出して相殺することがありえる。
  5. ^ 殊に、総司令部に軍旗を置いてしまうと、味方の駒が入れない上に、そこに何もないことと同じになってしまうので、総司令部には絶対に置かないこと。
  6. ^ すぐには地雷と悟られない意味合いもある。 極端な例として、相打ちではなく 中将とスパイ(または、大将+少尉、大将+騎兵など)を当てても勝てないとなると もう地雷しかない、と言うかたちで推理する。これにより、時には早いうちから強い駒が撤去される可能性もあり、片方(あるいは双方)の難易度が上がる事もある。 反面、一般ルールと同様に騎兵または尉官+工兵(飛行機は勝てる駒が多いので勝った時に それが地雷か判断し難い)を当てる戦術もあるが、地雷だと確信するまでは可能な限り被害を少なくしなければならない。よって、このルールではまだ動いていない駒に飛行機以外の駒を当てることは駒の損失につながる恐れがあるため、特に将官は動いている駒にのみ当てるようにする(これは一般ルールにも共通して言える。)。 総じて、尉官など弱い駒で(判定は負けだが事実上の相打ちにより)地雷を撤去できる一般ルールと比較すると、地雷を残すルールは難易度が高くなるといえる。
  7. ^ 一例として、地雷の場合は一般ルールと同じでゲーム終了まで動かせないが、中将の場合は 動ける中将の駒が2つ存在する事になる。
  8. ^ 旧陸軍において、少尉が連隊旗手を務めていたことを意識していると思われる。
  9. ^ このルールでは、敵司令部までの経路が開いていれば、一手で工兵は司令部にたどり着いて地雷確認ができる。一般ルールに比べて敵司令部にたどり着きやすい。一方で自軍の司令部に地雷やスパイを置いたときには、工兵から守るために、回りを他の駒で囲んで守る必要がある。
  10. ^ 一般ルールでは、工兵はほかの駒に比べて少ない手数で敵司令部にたどり着くことができるが、このルールでは1マスずつしか進めないのでたどり着きにくくなる。
  11. ^ ただし、このタンクにおける勝敗は 現在まで登場した各種のTVゲームのメディアを含め一般ルールとして定着しており、ソフトメーカーは既にデファクトスタンダードルールとして認めている事になる。TVゲームからユーザーが増加していけば混乱を招くおそれもある。以上の事から、将来的には公式に覆る可能性も否定できず、今やローカルルールとは言えない状況にある。なお、この問題を打開する方法として、タンクを重戦車軽戦車(あるいは重戦車とタンク)に分けて、前者が工兵に勝ち、後者は負けるようにするルールも提案されている。
  12. ^ このルールでは、飛行機をどこに置いても、狙った駒を直接攻撃できる。スパイを動かす際には、飛行機に狙われる危険が大きくなる。
  13. ^ この場合あらゆる駒に敗れる、とされることもある。

出典

  1. ^ "行軍将棋". 改訂新版 世界大百科事典. コトバンクより2024年1月22日閲覧
  2. ^ 軍人将棋の世界 "軍人将棋連盟"
  3. ^ a b c 軍人将棋とは?ルールと遊び方・魅力を紹介。AIに勝てなくなってきた今こそやってみたい!”. 和樂web 美の国ニッポンをもっと知る! (intojapanwaraku.com). 小学館 (2019年11月8日). 2024年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月22日閲覧。
  4. ^ 高橋浩徳「日本と世界の行軍将棋 : 軍人将棋の発祥は日本だった」『大阪商業大学アミューズメント産業研究所紀要』第18号、大阪商業大学アミューズメント産業研究所、2016年6月、101-176頁、ISSN 1881-1949NAID 120006468668 
  5. ^ 増川宏一『日本遊戯史 古代から現代までの遊びと社会』平凡社、2012年、276-277頁。ISBN 978-4-582-46814-4 






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