論理和 論理和の概要

論理和

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 16:05 UTC 版)

PQベン図による表現

二つの命題 P, Q に対する論理和は記号 を用いて PQ と表せる。この記号はラテン語で(非排他的)論理和を意味する vel の頭文字に由来する[1]。また PQ の形をした命題を選言命題disjunctive proposition)、その中に現れる命題 PQ選言肢disjunct)という[2]

  • 「私の身長は 160 cm 以上である」
  • 「私の体重は 50 kg 以上である」

の二つの命題の論理和は、

  • 「私の身長は 160 cm 以上か、または、私の体重は 50 kg 以上である」

となる。この論理和が真となるのは

  • 「私」の身長は 160 cm 以上で、体重は 50 kg 以上
  • 「私」の身長は 160 cm 以上で、体重は 50 kg より軽い
  • 「私」の身長は 160 cm より低く、体重は 50 kg 以上

のいずれかである。論理和が偽となるのは以下の場合である。

  • 「私」の身長は 160 cm より低く、体重は 50 kg より軽い

性質

PQ否定論理積を用いた ¬(¬P ∧ ¬Q) と同じである。従って、論理和は否定と論理積で表せる。

PQ ⇔ ¬(¬P ∧ ¬Q)

また、論理積は論理和と否定で表せる。

PQ ⇔ ¬(¬P ∨ ¬Q)

この二つをド・モルガンの法則という。

真理値表

論理和の真理値表

命題 P 命題 Q PQ

一般語との乖離

命題 PQ はしばしば「P または Q」と読まれる。この用語「または」は一般語としての用法より意味が限定的である。

日常会話において「または」と言った場合、例えば PQ のいずれか一方のみが成り立つことを意味することがある(排他的論理和)。具体例として、レストランにおいて「コーヒーまたは紅茶が付きます」と言えばコーヒーと紅茶のどちらか一方のみが付くことを意味し、両方が付くことは含意しない。

排他的論理和と明確に区別するために、通常の論理和を「包含的論理和」(inclusive OR)と呼ぶこともある。

表記法

論理和(OR) は、中置記法により表記される。

論理学

を使用して と書く。

電子工学

 + 記号を使用して と書く。

プログラミング言語

C言語などでは、単なる論理和は||、ビット単位の論理和は|で表され、

z = x | y;

のように使用される。(注:2|4 の値は 6 である一方、2||4 の値は 1 である。)

Perlでも、単なる論理和は||、ビット単位の論理和は|で表され、

$z = $x | $y;

のように使用される。(注: 2|4 の値は 6 である一方、 2||4 の値は C言語の場合とは異なり 2 である。)

VBScriptでは、「Or」で表され、

z = x Or y

のように使用される。

各プログラミング言語における論理和の表記と意味は、短絡評価と密接な関係がある。

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+2228 - ∨
∨
∨
論理和

  1. ^ 山下正男『論理学史』岩波書店岩波全書〉、1983年、69頁。 
  2. ^ 近藤洋逸、好並英司『論理学概論』岩波書店、1964年、32頁。NDLJP:2969913 


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